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2012年03月30日 07:44
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ロシアと21世紀世界の覇権競争
李春根
プーチン(Putin, Vladimir)がロシア大統領に復帰した。2000年3月と2004年3月に再選したプーチンは去る4年間は総理職を務め、今回再び大統領になって3回目の任期を務めることになった。3連任はできないという法を巧妙に潜り抜けて、去る4年間総理として事実上大統領よりも強大な権力を行使したプーチンが再び大統領の座に戻ったのだ。
米国の初代大統領ジョージ・ワシントンは連任制限規定がなかったにも拘らず、民主主義のため、そして民主的伝統の樹立のため、二回の任期を終えて忽然と在野に戻った事実と比較してみるとやはりロシアは民主主義国家とは言えない。だが、プーチン3期目の現実はロシアが今置かれている国際および国内政治的状況を反映したものと見るべきだ。
ロシア人たちはプーチンの独裁政治を嫌悪したものの、プーチンを圧倒的な支持で当選させるしかなかった。深刻な二律背反の状況だ。ロシアの国そのものが二律背反の立場に置かれているためこういう結果が起き得たのだ。
ロシアは一応先進国だ。だが、平均寿命も短く人口がかなりの速度で減少している国だ。これ以上米国を相手に出来る覇権競争国ではないにも、数千発の核爆弾をはじめ、米国の次ぐ強大な最新鋭軍事装備を整えている国だ。また、軍事科学技術が発達して人工衛星や超音速戦闘機は作れるが、世界トップレベルの自動車やTVやコンピュータは作れない国がロシアだ。先進国だが、天然資源を売って生きる。プーチンの大統領当選はこういう二律背反的ロシアの政治、経済、社会状況を反映する。
ロシアは事実1945年から45年間米国と競り合った超強大国だったし、1950年代中盤から80年代初期までは色々な分野で米国を圧倒する強力な大国だった。1990年ソ連共産政権が崩壊した後、国名まで変えた滅びた大帝国だが、ロシア国民は終わって1世代も経っていない超強大国の時が懐かしいはずだ。
プーチンには強大な時のソ連を連想させるカリスマがある。そしてプーチンは国民からロシアを再び強大国の列に戻せる強力な指導者という期待を受けている。KGB出身として国際政治の険悪な作動原理を誰よりもよく理解しているプーチンは、以前10年余りの執権期間の間ロシアの国力と国際的地位を再び回復させるのに寄与した。
もちろん、ロシアの回復は、ロシアが中国のように産業が急速に発展した結果によるものではない。ロシア経済回復の原動力は途方もなく値上がりした石油と天然ガスの価格のお陰だ。サウジアラビアと石油輸出量で1-2位を争うロシアにとって石油価格が高いレベルで維持されることは国家の復興を意味し、低い石油と天然ガス価格はロシア国家の衰退を意味する。
旧ソ連が滅びる直前だった1980年代の後半、石油価格は1バレル当たり10ドル台だった。1980年代の中盤40ドルレベルだった国際原油価格が、レーガン大統領のソ連崩壊戦略のために10ドルまで急落したのだ。レーガン大統領在任中米国CIA局長だったケイシーが最も関心を持ってチェックした仕事の一つが国際石油価格の変動に関することだった。オイル価格が値上がりする気配があると直ちにサウジアラビアなどに働きかけて石油価格を最低に保つために努力し、結局、ソ連は米国の圧迫に手をあげた。低い石油価格はソ連経済において致命的な要因であるしかなかった。
プーチンは2006年の例年国政演説でおもしろい表現を通じてロシアの国際戦略を明かしたことがあった。ロシア作家のクリルロープが書いた寓話に「誰を食うべきかが分かっているオオカミ同志」という話が出てくる。オオカミとキツネとウサギが同じ落とし穴に落ちた。オオカミが「私たちは誰を食うべきかな?」と訊くやキツネが直ぐウサギを見ながら、「オオカミ同志は誰を食うべきか知っておられます」と答えた。だが、オオカミはキツネを先に食ってしまった。
この寓話で、オオカミは米国を意味し、キツネとウサギは時代別にロシアと中国をそれぞれ意味する。東西冷戦時代にはロシアがキツネであり、中国がウサギだったが、今は中国がキツネでロシアはウサギに立場が変わった。キツネとウサギが力を合わせてもオオカミに太刀打ちできないという現実はウサギとキツネの運命的な悪夢だ。ウサギの立場になったロシアを導くべきプーチンはこの寓話の本質を分かっている。
東西冷戦時代に米国が倒さなければならない大敵(Arch Enemy)と考えた国はソ連だった。米国は1970年代中盤、中国と事実上の戦略同盟を結んだ後、中国と一緒にソ連を崩壊させた。中国はソ連を崩壊させようとする米国の大戦略に積極的に協力した。
今や境遇が変わった。米国は中国の覇権挑戦を制圧するための方便としてロシアを積極的に活用しており、プーチンも米国の大戦略に協力することでロシアの地位を一定水準取り戻そうとしている。
プーチンは、東西冷戦時代だったら十分に第3次大戦の原因になった筈の「-tan」の文字で終わる中央アジア諸国に米国が足を踏み入れるのを許諾した。米国はカザフスタン、キルギススタン、ウズベキスタンなどの協力を得て中東で反テロ戦争を積極に展開できただけでなく、窮極的に中国を包囲する大戦略を遂行しているところだ。
2008年、ロシアは本当に久し振りに軍事強大国の面貌をもう一度誇示できた。旧ソ連崩壊からほぼ20年ぶりに大規模軍事パレードを行って強大国の面貌を誇示し、また何と10,000Km以上飛んでフィリピン東側の太平洋海に着水した大陸間弾道ミサイル発射実験も敢行した。ロシアの大陸間弾道弾が飛行した軌跡は、東西冷戦時代だったらとても不可能な南北航路を横切るものだった。
東西冷戦の時、米国とソ連は相手を刺激しないためソ連は西から東に、米国は東から西に向けてだけミサイル発射実験を実施した。2008年8月、ウラル山脈西のロシアから発射された弾道弾は中央アジアと中国本土を南北に横切ってフィリピンの東側の太平洋まで飛んだ。ソ連の大陸間弾道弾が自国の上空を飛ぶのを見守るしかなかった中国はどんな心情だっただろう?
ロシアは、21世紀の米・中の覇権競争の渦中で、自国の役割が何なのか、どうするのがロシアの栄光を回復することなのかがよく分かっている。険悪な国際政治の「パワーポリティックス」(Power Politics)の属性を誰よりもよく理解しているはずのプーチンは、ロシア国民の選択だ。筆者はプーチンの大統領当選が米国の選択であるかも知れないと思う。そう考えるのは世の中をあまりにも世知辛く薄情に見ることだろうか?
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記事: 洪熒 (hyungh@hanmail.net)  
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