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2011年04月13日 00:00
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周囲に支えられ
東松山市 許南伊さん

許南伊さんと長男・長女

 韓国から日本に嫁いで20年。東松島市の許南伊さん(47)の夫は、大型保冷車を所有し、事業を営んでいた。事業は好調で、住まいと土地のほか1町5反の田んぼも買った。許さんは田んぼの管理とスナック経営で夫を助け、3人の子どもを育てた。その夫は5年前、ガンで亡くなった。
 自宅から海岸は約2キロ。家の前にある鳴瀬川の堤防は約10メートルだったが、津波は別の堤防を越えた。サイレンの鳴るなか、車に食糧、毛布、衣類と位牌を積み、長女と高台にある小学校まで逃げた。車はタイヤまで水に浸かっていたが、何とか止まらずに学校まで走ってくれた。2人の息子も無事だった。
 4月2日に自宅に戻ると、水は1階の中ほどまで達していた。夫と苦労して買った家は離れたくない。必要な物資を分け合う友人もいる。幼稚園の保護者会や小学校のPTA役員を務めながら、一つひとつ積み上げてきたものを捨てて帰ることはできない。
 結婚前、「骨を埋める覚悟で日本に行け」と送り出した韓国の親は「日本が海に沈没してなくなってしまうから帰って来い」とまで言う。しかし来日から20年たち、家庭を築いた。「ママ、大変だったら(韓国に)帰ってもいいよ」と言う子どもの成長を頼もしくも感じる。千葉の大学に合格していた長女は大学進学をあきらめ、家計を助けるために自衛官を志願する。
 「息子が家を継ぐまで」と、地元を離れるつもりはない。東松島に骨を埋め、夫の墓に入るつもりだ。

2011-04-13 3面
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記事: 統一日報  
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