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2010年10月20日 13:04
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中国は外交政策があるのか? -天安艦事件以後の中国の外交行態
李春根
今年
326日の夜、北韓潜水艇の魚雷攻撃によって大韓民国海軍哨戒艦天安が沈没、46人の天安艦の海軍兵士たちと彼らを捜索する過程で韓主浩准尉が命を捧げた。
 
これほどの事件は戦争レベルの挑発と看做して対応するべきだったが、そうでなかった。結局、天安艦が撃沈されてから半年以上経ったこの時点で、天安艦事件のような武力挑発が今後も発生し続けそうな状況がまだ続いている。北韓は自分の仕業でないと否定し続け、北側がやったと確信する大韓民国は北韓に対して何らかの効果的な制裁措置も取れずにいる状況だ。
 
最近韓国政府は水害民救護という名目で米5,000トンを北へ支援した。これから天安艦問題に対して北韓をさらに追及できる根拠が残ってはいるのか疑わしい。もし天安艦挑発事件がこのように有耶無耶になれば、この春国のため命を捧げた若い兵士たちの犠牲はどうなるのか?
 
天安艦事件を北韓の挑発と判断するのは国際政治の常識だ。だが、大韓民国は科学的証拠を確保するまでは予断しないという立場を取った。確実な科学的根拠が出るまで待つということだった。それで寸刻を争う危機状況の政策決定(crisis decision making)のタイミングを逃してしまった。
 
ほぼ二ヶ月後、確実な根拠が出た時はすでに大韓民国国民さえ30%程度が信じられないと思うほど状況はわい曲されてしまった。テロリストの犯罪行為は現場での射殺が最善の方案で、敵国が奇襲挑発を敢行した時の最も良い代案は即刻報復だ。
 
ところで、事が狂う過程で決定的に重要な役割をした国が正に中国だ。天安艦事件後、中国の行動に関する寄稿を頼まれて最初に思い浮かんだのは、中国がその気になれば韓国と北韓を勝手に持って遊べるだろうという点だった。
 
天安艦事件の直後、中国の協力を期待した韓国人が多かったが、それは事実不可能で誤った期待だった。中国は大韓民国のため協力する国でなく、大韓民国の国家大戦略と調和する戦略を持った国でないからだ。
 
大韓民国の国家大戦略は、窮極的に北韓を自由民主主義国家にし、統一を成遂げることだ。反面、中国の対韓半島戦略は、彼らの用語で「安定を維持すること」、つまり現在のような状況が壊れず持続することだ。われわれの大戦略が「現状の変更」を求めるものである反面、中国の対韓半島戦略は「現象を維持」するところにあるのだ。さらに北韓を完全に中国の影響圏に掌握するのが中国の戦略であるはずで、これはわれわれの大戦略と真っ向から背馳するものであるしかない。
 
天安艦事件直後から中国は北韓を庇護した。数十人の人命被害が発生したから加害者が必ずあるのに、中国は加害者の存在を一貫して否定した。中国はさらに韓国が北韓に対して何か対応すればそれは韓半島の安定を害するものだと反対した。
 
反対程度でなく事実上脅迫した。天安艦事件を挑発した北韓への膺懲の中で最も弱い措置が韓米合同訓練だった。実はこのような訓練は天安艦爆沈のような事件が起きなくても同盟国の間で通常的に行われるものだ。
 
韓米両国は、北韓に再びそのような挑発をするなというメッセージを送るため合同訓練を計画した。正にこの時、中国が激烈に反応した。北韓を膺懲するための韓米両国軍の連合訓練に中国があのように興奮した理由は、金正日一党に持続的な信頼を与えるためだっただろう。それで中国共産党の機関紙人民日報の姉妹紙の環球時報は、68日付の社説で、大韓民国と米国を脅迫する論説を掲載した。長いが引用する。
 
「韓国が米空母を引き込んで黄海で武力示威をするのを中国国民は容認できない.... 韓国が両国関係(韓中関係)の信頼増進と発展を望むなら、アメリカに対するこういう中国人の感情を考慮せねばならない... 韓半島問題において中国の理解と協力がなしでは韓国は如何なる行動一つも足を踏み出せないはずだ。」
 
上の言及は、社説や論評というよりは脅迫と言える。膺懲とも到底言えない韓米連合訓練を中国は脅迫調で威嚇したのだ。必ずしも中国の非難のためだけではなかったが、アメリカの航空母艦ジョージ・ワシントンは西海の代わりに東海で訓練を行った。
 
7
月末、東海で訓練を終えたジョージ・ワシントン(左写真)はベトナムへ向かってダナン港に入港した。中国は、ベトナムのこの行動に対して「これから後悔するようになる」と乱暴に非難した。このような言葉は外交的な言及で使われ得る言葉でない。それこそマフィアの世界でこそ可能な言及を中国の政府高位級外交官たちが普段の語り口のように言っているということが問題だ。
 
言葉だけでない。中国は領土紛争中の尖閣諸島で日本巡視船に当たって逮捕された中国人船長を釈放せよとほぼ脅迫水準の非難を日本政府に浴びせた。釈放が遅れると中国は日本人4人を軍事施設を撮影したという罪で逮捕し、日本の先端産業に必須資源である稀土類の対日輸出を中止させる措置を取った。
 
結局、日本は中国人船長を裁判に回付せず釈放し、中国は釈放された船長を国民的英雄にする民族主義の騒ぎ立てを行っている。中国人船長の釈放後、中国は日本に謝罪と弁償を要求し、日本はこれを言語道断と拒否した。つまり、中国はこの程度で事件を収拾しまいという意図を公開的に示したのだ。さらに中国は米国が中国に輸出する鶏肉をダンピングしたという理由で処罰的関税を賦課し、アメリカも中国が輸出する銅に対して同じ措置を取ることで中国の行動に報復した。
 
天安艦事件後、中国は大韓民国、ベトナム、日本、米国などと立て続け葛藤を引き起こす行態を見せている。韓国は中国の脅迫にこれと言った対応ができずにおり、ベトナムも黙っており、日本は韓国メディアが特筆大書したように「侍が白旗投降」してしまった。アメリカだけが中国の攻勢を打ち返している。
 
それでは中国は韓国新聞らが描写するように「パワーチャイナ」、「中国、スーパーパワー」になったのか? 中国は日本との対決で全面勝利を収めたものだろうか?
 
筆者はそうでないと思う。韓国新聞の報道通り「侍が白旗投降」したのではない。現在の日本は侍ではない。日本が本当に侍だったら白旗投降しなかったはずだ。
 
日本は憲法上軍事力が保有できない国で、戦争もできない国だ。だから現在の日本は侍でない。中国は勝利感に陶酔しているかも知れないが、日本にまた侍にならねばならない理由と根拠を教えてあげた。
 
中国は、韓国やベトナムが途方に暮れるのを見て自らの力が強くなったという事実に得意を感じているかも知れない。しかし、そう行動したことで中国周辺のアジア諸国が中国の国力増強を否定的に解釈するようにし、アメリカとの同盟を一層強化せざるを得なくさせた。
 
中国は去る30年間の経済発展の結果で幻想に陶酔している。大韓民国外交官たちが言うように彼らは中国的尊大さ(Chinese Arrogance)を思う存分誇示している。
 
それなら率直に国力を比較してみよう。軍隊とも呼べず自衛隊と呼ぶ日本の軍事力は、中国より強いし弱くない。(核兵器を除いて計算した場合)人口1 2000万の老齢化大国日本のGDPは、人口13億のまだ若い国の中国と同じだ。中国は米国と一戦を交えるように行動しているが、米国の経済力は中国の3倍で、米国の軍事力は中国の10倍以上だ。
 
鄧小平は、中国は100年間ひたすら国内問題に没頭し、金持ちになるのに努力すべきで、外国を威嚇してはならないという教訓を残した。だが、中国の指導者らは急速な経済成長が始まってわずか30年しか経たない今、増した力を持て余して隣国を脅かし、米国にまで挑戦しようとする。そうすることで、中国は200年前ナポレオンが言った言葉、「中国を目覚めさせるな。中国が目覚めれば、世界が騒々しくなる」という憂鬱な予言を現実にしている。
 
中国は未だそれほど強い国ではない。人口の半分近くが極貧者の国、一人当り国民所得がわずか3,500ドルの国が強大国であるはずがない。そういう中国が、全世界が中国に対抗し、包囲網を形成するための連合形成の必要性と契機を自ら提供している。中国は、隣のアジア諸国が覇権国のアメリカを彼らの独立と安全を守る堡塁と考えるようにした。
 
アメリカに対して声を上げた日本の民主党幹部数十人は、むしろアメリカに対して尖閣諸島の付近で日本と一緒に軍事訓練をして欲しいという嘆願書のような決議案を連名で提出した。(米国は日本と共に訓練を行うと約束した)
 
それで、われわれはアジア諸国が全部背を向けるようにする中国は、果たして外交政策がある国なのか、と疑問を提起するようになるのだ。
 
この文章は韓米友好協会が発行する「永遠の友人」201010月号に掲載されたものです。
 
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記事: 洪熒 (hyungh@hanmail.net)  
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