趙甲済
天安艦が沈没して三日目だ。李明博政府は生存者の救助を強調するだけ、原因糾明のための努力はゆっくりとやるつもりのようだ。船体を引揚げしてはじめて沈没の原因が分かるといった原則的話ばかりが出る。「中道政権」と左傾-扇動言論が合作して天安艦沈没の原因を隠蔽する方向へ状況を持っていくような疑いすらする。
NLLはいつでも戦闘が起こり得る戦線だ。この海域で1200t級の哨戒艦が一回の爆発で真っ二つになって沈没した。生存した天安艦の作戦官は、「内部爆発による事故では絶対ない。私が断言する」と言ったそうだ。「一回の爆破によるあっという間の沈没」は魚雷か機雷にやられた時起きる。艦内の火災や爆発の場合は、火災鎮圧装置や機構が作動する。そのような内部的対応が全くなかったという点で、外部要因による大爆発だった可能性が高いのが誰にも明確だ。
だが、政府筋と言論、特にKBSとMBCと聯合ニュースは、最も可能性の高い「北韓側の挑発」を排除するのに熱心だ。軍は天安艦の近くにあった他の哨戒艦が夜中に射撃した対象を「鳥の群れであろう」と推定したり、記者らは連日「消息筋」を引用して北側に特異動向がないから北韓が恣行したものではないだろうという低能児レベルの分析を出している。
政府は原因を速かに究明する意志がないように見える。ものはタイミングだ。特に戦線では時間が生と死を決める。攻撃でも事故でも原因をはやく究明してこそこの戦線に配置された他の艦船らも対応措置が取れる。仮に天安艦が北韓潜水艇の魚雷で撃沈されたとすれば迅速に原因を究明して他の艦船に知らせてこそ再発が防げる。
平和時なら、そして場所が戦線でないなら引揚げするまで待てる。NLL(海上北方限界線)で時間は生命だ。原因の究明が遅れて北韓軍の作戦に迅速な対応にできなかったら、わが将兵らは命を失い兼ねない。潜水夫が潜り爆破された方向だけを確認しても外部か内部要因かは判断できる。沈没した船体の水深はスキューバダイバーらが活動できる範囲内だ。
国軍統帥権者の李明博大統領は「何よりも人命救助が重要だ」とばかり強調するのではなく、「迅速な原因究明で再発の防止策を講じろ」、「あらゆる可能性、特に北韓軍の挑発の可能性を排除せず沈没の真実を早く究明せよ」と指示するのが正しい。
この事件は、原因がどちらに結論が出ようがこの政府にものすごい負担を与えるだろう。
この政府と言論の中には、「どうか韓国軍のミスが沈没原因で欲しい」と祈る人間たちがあるだろう。そういう希望がすでに話にもならない記事や論評を通じて国民に伝わっている。その願望通りになるとしよう。つまり艦内からの爆発が原因と政府が発表すれば最小限国防長官、合同参謀議長、海軍参謀総長は問責対象になる。子女らを軍隊へ送った国民の怒りが爆発し、地方選挙にも影響を及ぼすはずだ。政府と軍を不信する愛国運動勢力はこの発表自体を信じようとしないだろう。
金正日に最尊称を用い。北韓を「国家」と呼ぶ大統領安保首席、昨年の臨津江での水攻め惨事(6人死亡)に対して北韓軍が故意にやったことなのかどうかが分からないと言った国防長官、今年中に金正日に会いたいと公言した大統領が、果たしてこの事件を真実に調査したのか疑う権利と義務が国民にある。
魚雷など外部要因による爆発と沈没であることが明らかになれば「北韓軍の仕業」という結論に自然に辿り着く。魚雷の残骸など物証を通じて北韓軍の仕業であることを科学的に立証しても、北韓や南韓内の「従北勢力」はこれを否認するはずだ。国民は「外部要因=北側の仕業」と解釈するしかないので李明博政府に対して報復措置を求めるだろう。
われわれは攻撃的報復手段もあり非軍事的報復手段もある。李大統領が勇気と信念さえあれば報復が可能だ。非軍事的報復手段として北韓が最も恐れるのは、2004年以降中断された休戦線上の対北放送を再開し、2005年から北韓船舶に許された「済州-釜山海峡」の通過を禁止することだ。対北放送の中断は、西海上で衝突防止のための南北間の通信に合意した代価としてわが方が譲歩したものだ。その後北韓は西海上でわが方からの通信にほとんど応じず、嘘をついている。休戦線上の放送中断合意はその前提条件が消えた状態だから今でも再開できる。
この放送が再開されて混乱に陥った北韓状況を生々しく毎日24時間北韓軍70万人に伝えれば金正日体制が揺らぐようになる。韓国の海警は、済州海峡を通る北韓船舶に何が積載されたか確認できずにいる。尋ねても返事がないという。魚雷や機雷を運ぶのか、核兵器やアヘンを積んでいるのか分からない状態で北韓船舶に対して釜山港の近くや古里・月城原子力発電所の近海を通るよう放置しているのがこの政府だ。この通航を禁止する措置も経済難の北側に大きな打撃になる。
日和見主義的な「中道路線」を安保問題にも適用しようとする大統領の側近らは、「北韓軍の仕業」と究明された時の報復対応をやりたくなくて、天安艦沈没の真実を隠蔽するか真実糾明を遅らせて国民の怒りを鎮めようとするかも知れない。潜水要員が沈没した船を調査する前に、政府当局者という人間が言論に「北韓の介入可能性は低い」と話し、大統領がそのような妄言を制止しなかったこと、「北韓軍介入の可能性が低い」という報道に対して政府が何の反論措置を取らないことが、大統領の意中を語っている。
天安艦沈没は、中道実用的に解決するにはあまりにも大きな事件だ。善と悪、敵と友軍、反逆と愛国、偽りと真実の間で中道は立つ場がない。安保と法治に「中道」を適用しようとすれば中道が李明博政府の墓になるだろう。こういう問題を解決するには(海外から)原電建設工事を受注するのとは違う次元の資質が必要だ。そういう資質は教養、歴史観、理念、人生観、そこから派生する勇気と信念だ。勤勉さだけでは足りない。真実に立った正義感のみが李明博大統領を危機から救うはずだ。
繰り返し強調するが、今回の事件を李明博大統領がまともに収拾する道は一も真実であり、二も真実だ。すなわち、爆発と沈没の原因究明を正確にし、その結果を透明に発表しなければならない。誰に損になり得になるかより、何が真実なのかがもっと重要だ。真実を隠すか歪曲しようとする時、今回の事件は李明博政府を沈没させるはずだ。
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