金成昱
「北韓軍将軍の中に中国に買収された者が多い。彼らは急変事態の時中国の要求に応じざるを得ない。」
北韓でエリート出身の脱北者が昨日私にこう言った。彼の話が事実なら深刻な問題だ。最近中国は「北韓急変事態」と関連して韓・米と非公開の連鎖討論会を提案し、韓・米はこれを受入れたと伝えられる。討論の主題は急変事態時の「大量乱民対策」と「核兵器の安全性確保」問題だという。
「核兵器の安全性確保」は、中国人民解放軍がUN平和維持軍の形で北韓に進駐することを韓国・米国が了解してくれということで、争点が単純だ。
「大量難民対策」とは何だろうか? 中国の立場では大量の難民発生による「北韓体制の崩壊」や「東北3省の混乱」を絶対に避けたい。したがって、大量の難民はいかなる場合にも防がねばならない。中国は鴨緑江と豆満江地域に人民解放軍を集中させて難民の流入を防ぎ、食糧支援に出るはずで、北韓側も難民の発生を遮断しようとするだろう。
状況が急迫したら大量脱出を防ぐための殺傷行為が恣行されるかも知れない。これは鴨緑江と豆満江はもちろん、休戦線の近くでも恣行され得る。中国に買収された北韓軍指揮官たちはあらゆる状況で難民の統制、甚だしくは難民殺傷を主導するはずだ、中国は国境を堅く守るのに全力を尽くすだろう。
北韓は閉鎖社会だ。ベルリンの壁の崩壊のような休戦線の崩壊を防ぐため北韓軍が銃撃を加えれば大量虐殺が行われない限り、国際的イシューにはなり難い。北韓住民は1990年代の中後半、休戦線を超えられず300万が餓死した。北韓が内戦の段階へ進まない限り、北韓軍(特に中国に買収された)の難民統制、中国軍の鉄壁の警戒さえ並行されれば北韓の崩壊は防げる。
中国が「6者協議」参加国である日本とロシアは排除して韓・米だけを討論の当事者として参加させたことは、結局このような中国の下心に対する韓・米両国の同意ないし黙認や傍観を引き出すためではないだろうか?
中国の介入で北韓の共産党体制が長期存続することになれば、韓国の親北左派が強化され中国共産党の影響力まで拡大されて、大韓民国は収拾不可の状態に陥るだろう。
大韓民国は、北韓が韓国の領土であり、北韓住民が国民であることを明確にし、急変事態の解決主体として臨むべきだ。万一、この全ての問題解決の主体を中国に奪われ、そのため親中政権の誕生を見守るだけになれば、われわれの未来は中南米や東南アジアの辺境のように転落するだろう。
<参考>[中国、急変事態への議論を開始]
1.中国が韓・米と共に北韓政権の崩壊を含む急変事態への対応に本格着手したことが明らかになった。
SBS放送の3月18日報道によれば、中国は来月の16日から北京と長春などで、韓・米と一緒に北韓急変事態に備えての非公開討論会を開くと中国のある消息筋が伝えた。この討論会には、中国政府傘下の中国現代国際関係研究院、韓国国防研究院、米太平洋司令部などが関与すると伝えられた。
衝撃的なことは、「北韓の核兵器の安全性確保問題」に対する討論の方向だ。SBSは、「このため国連平和維持軍の形の中国人民解放軍の介入方式に関して3国間で深い議論がなされる」と展望した。
簡略なニュースなので全貌を把握するのは難しい。中国が意図的に流したニュースという感じもする。だが、北韓急変事態の時、中国人民解放軍の介入だと? いったいこれはどういう話か?
2.北韓地域は大韓民国の領土だ。北韓政権は未収復地域の北韓地域を不法的に統治する反国家団体であり、北韓住民は共産独裁から解放させねばならない大韓民国の国民だ。北韓の急変事態は60年間の熱戦と冷戦の終息であり、この解決の主体は大韓民国だ。
北韓の核兵器の安全性確保の主体も大韓民国と同盟国である米国でなければならない。このため韓・米連合軍は「作戦計画」を準備してきた。中国が核兵器の安全性確保のため北韓に介入することは主権侵害行為だ。国際法上不法であり、これを正当化するため国連平和維持軍の形を取るのも赦せない。
アメリカは核問題の解決のため中国と妥協する姿勢を取るかも知れないが、大韓民国は如何なる場合もこれを阻止せねばならない。万一、中国が北韓急変事態の時、「人民解放軍」を投入すれば、大韓民国はこれを外侵と規定しあらゆる手段を講じねばならない。
3.多くの韓国人が中国の介入をたいしたことでないと考える。人民解放軍が介入するはずもなく、介入しても長く駐屯しないという。いわゆる北韓民主化に努力してきた人々の中でもこういう主張があるのに驚きを禁じ得ない。主体思想や社会主義に対する幻想からまだ覚めていないことを克明に示す主張だ。
本質的な問題は、「中国の軍事的介入」以前に金正日の後「中国の政治的、経済的、文化的介入」そのものが問題だ。金正日死後いわゆる「親中政権(親中隷属政権、親中傀儡政権)」が誕生すれば、「朝鮮労働党」は消滅せず回生する。仮に「朝鮮労働党」が崩れてもまた別の看板を持った共産党独裁が復活する。共産党が蘇えれば親北左派も消えない。韓半島は北韓共産党+親北左派の連合勢力に中国共産党まで加わり「左派の三角形(red-triangle)」が完成されるだろう。
Red-Triangleが出現したら、大韓民国は南美化や赤化の泥沼にまた陥る。決定的にフィンランド化(Finlandization)される。フィンランド化とは重要な物事を自ら決定できず強大国の意図を先に窺う状況だ。中国に韓国の主権が次第に深く侵害される現象だ。
中国の磁場に入った韓国は中国に宥和的に対応するようになり、このような心理的対応は道徳的変化を齎すはずだ。アメリカ中心の海洋文明圏から中国中心の大陸文明圏へ組まれることだ。
4.アメリカは歴史上帝国主義の特徴を最も薄く示した「善良な帝国」だった。世界がパクスアメリカナ(Pax-Americana)の下で最も大きな繁栄を享受したこともその御蔭だ。アメリカと同盟を結んだ去る60年間はわれわれにも祝福だった。檀君以来の最大の発展も韓米同盟を通じて可能だった。
アメリカは第2次大戦の敵国だった日本とドイツにも限りなく寛大だった。賠償も求めなかっただけでなく敗戦国を再建させた。占領地から代価なしで撤退した。韓半島でも同じだった。従来の帝国主義とは違った。北韓を占領したソ連が興南の工場設備を解体して持っていく間、アメリカは南韓を経済的に援助し、建国するや直ぐ撤収した。「6.25戦争」の時は5万人以上のアメリカ青年が血を流した。
中国は圧制的な国だ。中国共産党は特に無慈悲だった。中国の共産化以来1960年代の「文化革命」を経ながら数千万人の自国民を餓死させ打ち殺した。周辺国とは絶えず領土紛争を起こしてきた。チベットを占領したのをはじめ、インド、日本、ベトナム、旧ソ連などと争い台湾に対する武力侵攻を準備してきた。「6.25戦争」で韓国を侵略した。アジアでの人権蹂躙は中国が震央だ。中国は最悪の帝国主義的属性を表している。
中国はますます露骨に帝国主義を追求しながら中国中心の秩序(Sinocentric order)を確立しようとする。「中国共産党はもはや共産主義者でないためもっと中国的でなければならない」という話がある。中国は「民族主義」を利用して専制的政権の正当性を合理化して行くだろう。経済が発展して自由に対する中国人の熱望が大きくなるほど共産党政権は民族主義をさらにそそのかすほかない。共産党政権は望もうと望むまいと民族主義に基づく帝国主義政策を強化するだろう。何より中国帝国主義の飛び火が最も降り注ぐところがまさに大韓民国だ。
5.中国帝国主義はすでに現実化している。北京オリンピックの聖火リレーの時ソウルで見せた中国留学生(?)などの狂乱と暴動は些細な例に過ぎない。
2008年5月27日、中国外交部スポークスマンの秦剛は、「韓米軍事同盟は過ぎ去った歴史の遺物であり、冷戦時代の軍事同盟であって現代世界の安保問題を解決できない」と言った。この発言は李明博大統領の訪中直前に出たものだ。秦剛は二日後自分の発言が完全なものであり、系統を踏んでなされた中国政府の公式立場であることを再確認した。他国の同盟関係を嘲弄する明白な主権侵害の発言を国家元首の訪問直前に吐きだした。これが今の中国だ。
当然のことだが、韓国の親中化は反米化、すなわち米国との関係が疎遠になることを意味する。コンドリザー・ライス米国務長官は、フォーリンアフェアズ(foreign affairs) 2008年7月8日付の「国益を考え直す(Rethinkimg the National Interest)」という文でこう話した。
「われわれはオーストラリア、東南アジアの要素国家たち、日本と強くて民主的な同盟を共有する(democratic alliance)...また南韓も貧困と独裁から民主主義と繁栄への鼓舞的な旅行を自慢できる歴史を持った汎地球的パートナー(global partner)になった。」
韓国はpartner、オーストラリア、東南アジア国家、日本はalliance! これが韓国に失望したアメリカの反応だ。万一、韓半島が中国の影響力の下へ「もう少し」吸い込まれていけば、自由統一も北韓解放も一流国家も遠い国の話になってしまうだろう。
6.「中国式の改革開放」という詐欺を前面に出した「親中政権の誕生」は非科学的であるだけでなく反民族的だ。中国に対する浪漫的好感で「人民解放軍」の介入を傍観するかさらには支持する行為は反逆そのものだ。
北韓急変事態は民族の自主と尊厳と未来を決める決定的な事件だ。大韓民国は憲法の命令に従って北韓を抱擁しなければならない。2300万の北韓住民の自由と4700万の南韓国民の繁栄のため、必要なら中国と一戦を覚悟しなければならない。
*写真:韓国海軍のイージス艦(上)、韓国陸軍の次期戦車(下)
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