韓国の写真家・柳銀珪(リュウンギュ)さんは、十数年間にわたり、延辺朝鮮族自治州を中心とする中国東北の各地を巡りながら、朝鮮族の暮らしを記録してきた。同時に、朝鮮族の人々が持っていた古い写真を蒐集し、中国における朝鮮族の移住と定着の足跡を記録に残す作業も進めてきた。
朝鮮族が中国の「紅色恐怖」に震撼していた時代の資料を捜していた柳さんは、ある老写真家と出会う。老人は、「文化大革命」時代に写した膨大な量のフィルムを柳さんに託した。「私が死ぬまで、これを発表してはいけない」と言い残して。中国全土を揺るがした「文革」には今も明らかにされていない部分が多く残されているという。老写真家は、なぜ、だれにも言わずにフィルムを隠し持っていたのか。
柳さんは老写真家との10年越しの約束を果たし、このほど1冊にまとめ、発表した。2010年にようやく日の目を見た朝鮮族の人々の受難の記録は、過ぎた時代を生々しく再現する痛恨の記録として、また東アジア現代史の一断面として、深く後世の人々の心に刻まれることだろう。
日本語訳付き
図書出版土香(韓国)刊
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