大統領就任2周年を迎え、李明博政権に第3次南北首脳会談開催問題が浮上している。
2度にわたる核実験に対する安保理制裁で追い詰められた北韓(北朝鮮)が非核化協議の場に出ざるを得ない状況のなかでの首脳会談開催説である。しかし、この時点で会談を行う何らの大義名分もない。過去の南北会談での約束を反故にし、逆に緊張の火種を持ち出してきたのは誰だったのか。李明博政権は発足当初から北の非核化要求を掲げてきた。開催に踏み切るというなら、6カ国協議の場と合わせ、会談開催以前に、必ず北から核無能力化の言質と保証を獲得しなければならない。
昨年5月の北の2度目の核実験は国際社会の我慢の限界を超えるものだった。自己防衛に名を借りた北の核保有の試みは、核拡散防止の観点から、また東アジアの安全保障の観点から世界はこれを拒否している。韓半島の平和統一と自由民主主義の立場からもわれわれは北の核保有を拒否する。
北の核言動エスカレート
ところが北は安保理制裁を逆手に取り、「ウラン濃縮に着手する」と態度をエスカレートさせ、「まだ公表していない最先端の全世界的打撃力量と安全保衛手段がある」と脅威をちらつかせた。「最先端の打撃力量」とは核弾頭が搭載可能なミサイルのことと識者は見ている。北の非常時の対応を定めたと報道された韓国の「復興計画」に対しては「謀略機構を解体し、責任者を処罰せよ」と言ったり、「報復聖戦を行う」と韓国を威嚇したばかりだ。
米国は制裁解除を求める北に対し、6カ国協議に復帰して非核化が進めば「安保理が制裁決議の見直しを検討するだろう」と伝えた。北は外務省声明でも制裁解除が6カ国協議復帰の条件と主張したが、6カ国協議関係国は譲歩しない。
核開発を正当化する2月19日の朝鮮中央通信は「多額を投じて核抑止力を手に入れたのは米国の核脅威に対処するための自衛的措置」と強弁し、「外部の経済的恩恵を望み、放棄できると考えること自体が誤算」と言い張る。
北、レジームチェンジの前夜
北を取り巻く状況は、制裁包囲網の強化、独裁システムの行き詰まり、域内市民の経済改革要求などの高まりである。北はどの方向に踏み出すにせよ、レジームチェンジの前夜にある。
首脳会談開催の雰囲気づくりの一環として北の山林緑化を人道主義的事業として行おうとする動きも伝えられている。しかし、制裁網をかいくぐるための北の経済協力となる懸念も強い。韓国は原則的な立場を一貫させ、非合理的妥協を行わず、北の核廃棄を進めるべきだ。
金大中・盧武鉉政権の莫大なる対北支援が、北の社会開放に使われず、逆に核武装に使われた疑いが濃いことからなおさらだ。過去10年間の対北支援の結果は何であったのかと再検討する必要がある。支援を対価に会談を重ねれば重ねるほど問題を複雑にする。不必要に会わないのも一つの統一政策だろう。従来の瀬戸際路線をそのままにしては経済復興にはつながることはないことを金正日政権に認識させる必要がある。
南北首脳会談は南北関係に確実な進展が望める場合に開くべきだ。72年の7・4共同声明では南北双方が「互いに中傷、誹謗を行わないことや武力挑発をしない」ことで合意をみたが、一向に履行されていない。92年に発効した韓半島非核化宣言は北の核開発で事実上反古になった。また、南北会談が開かれるのであれば、開催地は6・15宣言でも合意をみた「金正日国防委員長」の韓国訪問、すなわち一度も開かれていない韓国での開催になるべきこととなろう。果たして北は遵守するのか。
韓国は、韓半島の自由、民主主義の発展と平和統一を目指している。北は、韓半島と韓民族が再編期の世界に生き残る道は何かを韓国と真摯に追求するべきだ。大統領は首脳会談を行ったがゆえに歴史に名を残すのでなく、南北関係の発展に貢献したとき、後世は評価するのだ。
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