趙甲済
聯合ニュースは2月14日、「北韓の媒体らが港町の江原道元山市の『夜景』を大々的に宣伝していて注目を引く」と報道した。
労働新聞は2月14日、旧正月を迎えて「元山市にうっとりした不夜城が繰り広げられた」、「平壌の上空へ打ち上げられた祝砲の花火(祝砲夜会)がそっと降りたようで、伝説の神秘境のようだ」と自慢したということだ。
元山市の夜景工事は、金正日が昨年、元山青年発電所を現地指導しながら、この発電所で生産した電力で夜景を新たにしろと指示したことで、1‐2段階に分けて進められ、昨年の末全部終わったと聯合ニュースは伝えた。
問題は次のような推測報道だ。聯合ニュースは、「北韓が元山市内のネオンサインを宣伝する背景には、金正日委員長の後継者として内定された金・ジョンウンが直接関連しているためだという観測が出ている」と推測した。その根拠として、聯合ニュースは「複数の対北消息筋」を挙げた。この消息筋は、「金・ジョンウンが2007年末から2008年8月に金委員長が脳卒中で倒れる前まで元山にある金委員長の招待所で泊まり、元山市に相当の愛情を持ったものと聞いている」と言ったそうだ。20代の青二才が元山市に留まったことを「元山市に対する相当な愛情」へ結びつけた聯合ニュースはもう一度飛躍する。
「金委員長が、昨年5月、異例に元山市の夜間照明の現況を直接現地で指導しながら、「平壌市のネオンサインに比べられないほどよくやった」と評価したのも後継者の金・ジョンウンを称えるための措置と見られる。」
「見られる」という表現は推測だということだ。推測に推測を加えては遂に元山の夜景が金・ジョンウンのためのものだと飛躍させたのだ。北韓政権が金・ジョンウンをPRするのではなく、聯合ニュースが金・ジョンウンをPRしている。聯合ニュースが昨年から発信した金・ジョンウン後継者説の関連記事だけを集めても本一冊分量になるはずだ。そこには数多くの推測と誤報があった。それでも粘り強くこういう記事を載せるのがおかしい。いや、怪しい。
「朝鮮労働党の宣伝煽動部」は、今まで金・ジョンウンに対して、ただの一言も言わなかった。如何なる「金・ジョンウン美化」もやらなかった。ところが、南韓の聯合ニュースは、「宣伝煽動部」よりもっと金・ジョンウンPRをやっている。
元山の夜景を報道するなら、最小限北韓の劣悪な電力事情は紹介すべきではないのか? 北韓の電力生産量は200~300万 kwと推定される。韓国の20分の1程度だ。電力の不足が北韓の経済難の根本だ。そのような北韓政権がその貴重な電力を元山の夜景を照らすため費やしたら、ニュースの価値判断の基準としてこの問題は批判的に、あるいはコメディーとして取扱うべきであって、「金・ジョンウンPR」材料として美化して報道してはならない。
元山の夜景に対して北韓政権は金・ジョンウンと結びつけていないのに、なぜ南韓の聯合ニュースがこういう小説的な報道で金・ジョンウンをPRするのか?
金・ジョンウンを見た北韓人は、金正日の側近を除けば誰もいない。彼の名前を知っている北韓人も誰もいない。彼が公職に就いたという発表もない。北韓政権の第2人者である金永南は、日本報道機関とインタビューしながら後継者説を公式に否認した。
「後継者の金・ジョンウン」は2010年2月15日の現在、存在しないのだ。もちろん、未来に後継者として登場する可能性は排除できない。だが、今ではない。今雪が降らないのに「雪が降っています」と報道したら誤報だ。明日雪が降るといっても誤報だ。
聯合ニュースの記者は、事実報道と小説を区別する方法を学ぶべきだ。この組織(連合ニュース)は、記者が書きた不正確な記事を矯正するデスクの機能が麻痺したのか?
そして一言付け加えるなら、聯合ニュースは700万人の虐殺政権と20代の青二才に対してこのように親切な記事を書き続けてあげることに対して良心の呵責を感じないのか? 金・ジョンウンが太宗(*朝鮮王朝の第3代王)の息子である忠寧大君(世宗大王)ほどの人物なのか? 聯合ニュースはプライドがあるのか? 聯合ニュースは本当に報道機関なのか? それとも金・ジョンウンPRのエージェントか?
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