李春根
2010年の新年が明けた。新しいミレニアムの21世紀が始まってちょうど10年が経った。だが、10年前の2000年を迎えて、われわれ大韓民国国民が期待した最も重要な念願の一つだった統一は未だ成就されず、より豊かな国家になるという夢も果たしていない。
つまり、2010年の韓国の国際政治および経済的な地位は、2000年のそれとあまり変わっていない。去る10年間は、わが国にとって「失われた10年」と言うべきかも知れない時間だった。特に2003-2007年間の盧武鉉政府の経済成長率は非常に低く、その結果大韓民国の国際経済においての地位は何段階も低くなった。
また、金大中・盧武鉉政権の反米・親北的な外交政策は、ほぼ崩れつつあった金正日体制を起死回生させ、統一への道も遠ざけ、金正日の核開発やミサイル開発を間接支援したことで、わが国の安保状況をむしろもっと不安にしてしまった。
2000年の当時、世界12位だった韓国のGDPは、最新の資料によれば14位に後退した状態で、事実上の核保有国になってしまった北韓を相手にしなければならない軍事戦略的にも非常に厳しい状況に置かれてしまった。
反面、2000年にはほとんど希望が見えなかった北韓は、去る10年間生存に成功し、核武装にも成功した。1999年「太陽政策」が始まった以後、南韓から捧げた数十億ドルのお金で核兵器を開発し、数十、数百万トンの米で、金正日は「強盛大国」や「先軍政治」を叫ぶことができた。
それで、去年の一年間、金正日は国際社会に向かって恐喝しながら、自らが韓半島の最後の勝者になるという国家大戦略をアメリカに強要しようとした。北韓の国家大戦略は、北韓が韓半島統一の主役になることだ。もっと簡単に言えば、未来の韓半島に樹立されるはずの統一国家の名は「朝鮮民主主義人民共和国」であるべきだというのが北韓の大戦略だ。北韓はこのため原爆を作り、核を持ってこの状況を実現させるため米国と戦略的取引(deal)を試図しているところだ。
「核」をもってアメリカを脅かし、核を放棄する代わり、アメリカは韓国との軍事同盟を破棄し駐韓米軍を撤収せよと主張するのだ。平壌の2010年の「新年共同社説」が主張する「韓半島の非核化」とは、自らが核を放棄するということでなく、駐韓米軍を撤収しろという話にすぎない。
去る10年間の北韓の大戦略は簡単だった。孫子兵法の2編の作戦編は、「知恵のある将帥は、敵を利用せねばならない」という戦略論の真理を強調している。孫は、「したがって、知略の優れた将帥は敵国の食糧を得て自身の軍隊を食べさせる」(故智将務食於敵)と具体的に教える。
去る二期の南韓政権とそれを支持した左派的知識人らや普通の国民は、国際政治学的に根拠の薄弱な、歴史上その類例を見られない、寓話に基づいた「太陽政策」を、金科玉條の対北政策と信じて来た。その間、北韓側は戦略や戦争論の最高真理で、歴史的に証明された基本原則に忠実した。
今2010年を迎え、われわれは21世紀に備えた国家大戦略をより具体的に構想し、樹立しなければならない。今日2010年の1月1日から2019年の12月31日まで次の10年間に起きるかも知れないことに備えねばならない。いや、われわれが望むそのことが起きるように歴史を創っていく準備をしなければならない。われわれが望む歴史を創るためには、われわれは具体的なゲームプラン(Game Plan)が上手く描かれた戦略地図を予め作って置かなければならない。
ポール・ケネディの後を継ぐ世界的な碩学のハーバード大学のニアル・ファーガソン歴史学教授が、韓国記者とのインタビューで、2010年代の10年の内、北韓は崩壊すると言い、2019年に世界は韓国の再統一を最も偉大な歴史的事件として記憶するはずと予測した。
ファーガソン教授は、北韓は誰かが支援しないと崩れてしまう「人為的」存在に過ぎない国だと判断する。2000年から始まった10年間、北韓は韓国と中国の支援で生き残った。だが、2008年韓国に新政府が樹立された以後、韓国の対北支援は中止された。今や中国の支援までなくなれば北韓は崩壊するしかないというファーガソンの分析は楽観的であるものの事実だ。
われわれは、ファーガソンが、「中国は結局、北韓が存続し続けるように支援する費用があまりのも過度だということが分かるようになるはず」という言及に注目しなければならない。費用があまりにも過度でない限り、中国は最後まで北韓を支援するだろうし、北韓はこれを通じて生存できるだけでなく、自身が韓半島の未来の主人公になることも夢見るはずだ。
中国は、北韓が消滅し韓半島全体が自由民主国家に統一されることが、中国の国家安保に致命的な事件になり得るという地戦略的(Geostrategic)考慮を忘れたことが一度もない。中国は、建国後1年しか経たなかった1950年の冬、韓半島に中国軍を投入することで、世界一の超強大国のアメリカとの戦争も辞さなかった程に北韓を重視する。
中国が、北韓を緩衝国として維持するより、北韓を放棄して韓半島の統一を許すことがもっと良い選択と考えられるためには、中国としてもどうしようもない、北韓を維持するには「費用過多」という条件が熟せねばならないが、まさにこの部分が「21世紀の大韓民国の国家戦略」に必ず包含されねばならない内容だ。
中国が、北韓を維持するのはあまりにも疲れるというのを感じさせることはわれわれの仕事であり、自由統一を成遂げた大韓民国は、中国の国家安保に何の影響もないだけでなく、中国の発展と繁栄に多いに役立つ国だという事実を認識させることも、われわれのなすべき課題だ。
内心、韓半島の統一に対して不確実な気持を持っている日本に対しても、「統一韓国」こそ日本の国家利益にも最善である事実を説得しなければならない。
北韓が崩壊し韓半島が統一される過程で現れ得る、東北アジアの国際政治の急激な変動(dynamics)過程や変動の結果が、中国、日本などの国家利益にも最善であることを保障できる国は米国だ。したがって、アメリカの積極的の支持は韓半島統一の必須の要素であるしかない。
終末へと走っている北韓政権が「急変事態」にぶつかる場合、大韓民国は北韓に対する韓国の権利を主張できねばならず、そうするための能力を必ず持たねばならない。われわれは、国際社会に向かって、「北韓の急変事態」がどう決着されねばならないかを予め宣言しておかねばならない。
北韓が崩壊しても、北は韓国の意志で決められない問題だという馬鹿げた国際法的解釈などは止めねばならない。わが同族が混乱状態に陥ったのに、大韓民国が責任を負わないというのは、戦略的発想でも、同胞愛的発想でも、民族主義的発想でもない。北韓急変事態の時、その難問を担う最も優先的な国(stakeholder)が大韓民国である事実を周辺国家にはっきりと認識させねばならない。
われわれ自らがその仕事を担当できる能力(経済力はもちろん軍事力も)を確保せねばならない。 そうしてこそ、北韓の急変事態の時、中国の力が北韓を先占する事態を防止できる。大韓民国自らが北韓の急変事態以後を処理できるならそれに増したことはない。ただ、現在そのような能力があるか疑わしい。それで、われわれはアメリカの力と支援を必要とするが、その場合、中国の介入が問題になる。
このジレンマを解決するため外交力、経済力、軍事力が必要だが、まさにこういうことを総合し対策を講ずることが、21世紀の大韓民国の国家戦略を構想するというのと同意語だ。
新年を迎え、21世紀の二度目の10年(2nd. Decade)を迎えるこの瞬間、大韓民国の国際政治学者の一人として、そしてわが国も強大国になるのに寄与すると昨年の年頭に同僚たちと共に約束した国民の一人として、2010年代が終わる前、韓半島に自由民主主義の統一大韓民国を建設できるよう、具体的かつ積極的な対策を急いで創らねばという使命感を感じる。(2010年1月1日)
*この文は、「未来韓国」2010年1月号第1冊の「李春根博士の戦略話」に掲載されました。
|