趙甲済
<今年は南北関係においても新しい転機を作り出さなければなりません。北韓が早く6者会談に復帰することを促します。そして、韓半島非核化が進展し、本格的な南北協力が始まることを期待します。このため、まず南と北の間に常時的な対話のための機構が設けられねばなりません。北韓も真心で心を開いて対話と協力の道に出ることを期待します。
今年は「6.25」 60周年の年です。>
今日(1月4日)の李明博大統領の演説の一部だ。ここには重大な失言が二つある。<韓半島非核化が進展し、本格的な南北協力が始まることを期待します>という文章は取消されねばならない。「韓半島の非核化」という用語を大韓民国大統領が絶対に使ってはならない。不正確な用語であるからだ。「北韓の非核化」や「北核の解体」と正確に言わなければならない。南韓には核武器がない。韓国政府は核開発をしなかったし、駐韓米軍が持った核武器は1991年に撤収された。それにも、南・北国を包括する「韓半島の非核化」を追求するという言葉は、南韓政府が核開発をしているか、駐韓米軍が核武器を保有しているという事実を前提とした言葉だ。この用語こそ北韓の欺瞞的な用語戦術だ。
もちろん、北韓は「朝鮮半島の非核化と言う。その意味は、北韓が核開発をしないという意味でなく、いわゆる朝鮮半島を威嚇する米軍の核武器、さらに一歩進んで、核武器を持てる駐韓米軍が韓半島から無くなるべきだということだ。「韓半島の非核化」という用語を大韓民国大統領が使うことで、南韓に核武器があることを隠然たる中に認め、その問題を北核問題とともに扱うという約束をした結果になった。国軍統帥権者のこういう失言を防げなかった参謀たちは一体何をしているのか?
「韓半島の非核化」という話は言葉そのものが成立たない。泥棒が模範生に、「私たちはこれから皆が盗みをしないことを誓おう」と提案して、模範生が泥棒と一緒に「私たちはこれから盗みを絶対にしません」と叫んだ格好だ。「北核の解決」という正確な言葉があるのに、なぜ北韓式の用語戦術に踊らされ、「韓半島の非核化」という騙しの用語を李大統領が使うことで、北韓と中国が「北韓の核問題を根源的に解決するため駐韓米軍と韓米同盟の存廃問題も同時に議論しよう」と付け込まれる弱点を文書化したのか?
この事態がさらに悪化する前に、李明博大統領は明日中にも「韓半島の非核化」を取り消さなければならない。偶々今日高位級の脱北者と食事を一緒にしたが、その人も同じ見解だった。彼はこう心配した。
「李大統領がすでに北韓の戦術に騙されたのではないか。その延長線で金正日との会談が北韓地域で行われれば、コーナーに追込まれた金正日がまた生き返り、北韓同胞の苦痛は延長されるだろう。北韓政権は飢えながらも、南韓の赤化統一という目標は最後まで放棄しないのに、南韓は良い暮らしをしながらも、対北統一戦略がないため、いつも振回され、チャンスがきても掴めないのだ。」
<「6.25」60周年の年>という言葉も間違った。「6.25南侵60周年」というべきで、「6.25の60周年」といえば、若い世代は60周年の意味がよく分からないはずだ。「6.25」を建国節か解放記念日と勘違いすることもあり得る。大統領は最も大きな教師だ。こういう演説を通じて「6.25南侵60周年」と正確に説明してこそ、現代史の教育になり、対北警戒心と愛国心が生まれるはずだ。「従北・守旧勢力」は、「6.25南侵戦争」の加害者が誰だったのかを教育するのは、民族和解のため良くないと主張し「誰が先に戦争を起こしたのかは重要でない」という。教師たちと政治家たちと大統領までが金日成の戦争犯罪を努めて教えないから、20代の20%ほどが「6.25戦争」を誰が起こしたのか知らないと答える。
李大統領が言った「6.25 60周年」と「韓半島の非核化」という二つの言葉に現れた左傾的宣伝と教育の影を見る。大統領が理念の武装を軽く思えば、(敵の)理念的宣伝攻勢の餌食になるのだ。理念戦争は用語の戦争だ。経済戦において勝っても、理念戦争で負ければ自由統一と一流国家の建設は不可能だ。人は調子のいい時こそ油断してはならないという話を思い出す。
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