趙甲済
オバマ大統領の日本、中国、韓国訪問を契機に世界秩序が米・中の「両強体制」を中心に再編されつつあるという話が多く出ている。特に、昨年のアメリカ発の金融危機で、アメリカの地位は落ち、中国の地位は上がるところだ。オバマの中国訪問は、債務者が債権者を訪ねるような格好だという指摘がニューヨークタイムズ紙に載った。中国はアメリカの国債を最も買った国で、経済危機もよく克服しており、貿易総量や外貨保有高でも世界1位だ。今年中国国内で売れる自動車の台数はアメリカを上回る。
こういう変化を反映するかのように、オバマの中国訪問は過去クリントンやブッシュ大統領の訪中とは大きく違った。アメリカの大統領たちは、中国を訪問する度中国人に向かって人権や民主主義の重要性を力説したのに、オバマはそれができなかった。アメリカが中国に圧力を加えられる材料は多いが、お金を借りる立場では限界があるしかない。
日本の鳩山新政権も、アメリカ政府に対して過去のように従順でない。言うべき事は言うという姿勢だ。反面、中国と日本の関係は好転しつつある。東北アジアで相対的に中国の影響は強くなり米国は弱くなる。こういう新しい変化は、韓国や「北核問題」に直接的な影響を及ぼすだろう。
米・中首脳会談で、オバマと胡錦濤は、「北の核武装問題」の解決のための「6者会談」の再開に合意した。問題は中国の主導による「6者協議」は絶対に「北核問題」を解決できないという点だ。中国は、北朝鮮政権が核兵器を放棄するように石油の禁輸措置のような圧力を加える意図がない。核武器を持った北韓より、国際圧力で崩れる北韓がもっと頭が痛いと考える。
米・韓が、核武器を放棄させるため北韓政権に軍事的措置を取らない限り、また中国が圧迫しない限り、北側が自ら原爆を放棄する可能性はない。アメリカも中国に対して北の原爆放棄のため行動するよう圧迫を加える勇気が無い。日本と韓国政府も軍事的措置を望まない。それでは北側の原爆を廃棄する方法がなくなるわけだ。
しかも、1980年代から、鄧小平の中国はパキスタン、イラン、リビア、北韓に核技術を提供したり原爆の開発を黙認してきたという証拠が次次と明らかになりつつある。そういう中国がアメリカの圧迫を耐えられる程大きくなったのに、急に北韓の腕を捻るはずがない。
北韓の内部変化によって北韓政権が東欧共産国のように自ら崩壊するか、中国の民主化がはかどって北韓政権が中国式の改革・開放に出ざるを得ない限り、外部からの圧迫による核武器の廃棄は難しくなった。
韓国、アメリカ、日本など関連当事国が、「北核」解決の焦点を北韓社会の内部変化への誘導に置かねばならないという提言らがたくさん出る。
と言って、中国がアメリカに代わって世界的指導力を発揮しそうもない。中国自らが、「われわれはアメリカのような強大国でない」と低姿勢に出ながら指導力の発揮を避けている。中国の軍事費支出はアメリカの7分の1だ。アメリカの年間国防費は約6000億ドルで、他の世界各国の軍事費を全部合わせたのと同じだ。中国の海軍力はアメリカの相手にならない。人権、正義、民主主義、環境保護の部門で、中国は世界を導く姿勢ができていない。
こう質問してみよう。「あなたはアメリカが指導する世界で生きたいか、中国が指導する世界で生きたいか?」と。
恐らく多くの中国人も、「われわれはアメリカが主導する世界で生きたい」と答えるはずだ。アメリカは、人権、科学、民主主義、教育、軍事力の部門で2位とは大きな差をあけて1位を独走する。ただ、北東アジアではアメリカと中国の影響力が同じ程度か、経済的、地理的、歴史的要因から中国がもっと強いかも知れない。
こういう状況で、韓国は中国とよい関係を保ちながら、同時にアメリカとの同盟関係、日本との友好関係をもっと強化せねばならない。北の核武器と長く同居する心の準備もしなければならない。中国の影響力の増大は、「北核問題」の長期化、北韓政権の相当期間の存続、そして韓国内の「従北勢力」の長期化を予想させる。自由民主主義を信念化した「大韓民国勢力」は、長期戦に備えねばならない。
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