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2009年10月13日 15:31
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日韓の核保有を押さえ込む6者協議
              佐藤勝巳
 10月4日の中国温家宝首相の訪朝を、金正日委員長は空港まで出迎えて歓迎した。北朝鮮が大々的な歓迎を行なうときは、両国関係が良くないときが多く、良好なときは地味なのが通例だ。
 
 今春、金正日政権が強行したミサイル発射・核実験に対し、中国・ロシアは国連安保理の厳しい制裁を支持した。中国・ロシアの賛成に反発した金正日政権は2国を事実上名指しで、ダブルスタンダードで卑怯な態度と批判した。だが、今回のように少し時間が経過すると中朝間は、関係が修復していく。こうした例を過去にも何度か見てきた私にとって「またか」と思うだけで、特に驚きはない。
 
 温首相は「経済援助に関する交換文書」「経済技術協力」「教育機関間の交流協力合意書」など色々なお土産をたずさえて、金正日政権を6者協議に参加させるために訪朝したと報じている(10月6日付朝鮮日報)。もちろん、そういう側面も多少あるとは思うが、本当の狙いは別なところにある、と私は見ている。
 
 まもなく、米朝2国間交渉が始まる。米国務省は、6者協議に参加させるための交渉であって、それ以外のことは議題としない、と一生懸命説明している。この説明を北京が信用するだろうか。米朝接近で金正日政権のミサイルが北京に向くようになったら中国にとって大変なことになる。金正日政権はそんなことをやりかねない政権であることを中国はよく承知している。
 
 6者協議から何も生まれないことを熟知している中国は、金正日集団をまったく信用していない。2006年のミサイル・核実験以来、中国は金正日政権の核ミサイル実験に反対との意向を公式・非公式に伝えたがことごとく無視した。中国の影響力が北朝鮮に殆ど及ばないことを全世界が知ってしまった。
 
 中国は朝中国境を閉めれば金正日政権は中国の主張に従わざるを得ないことを知りながら、それが出来ないでいる。それをしたら金正日政権はアメリカに助けを求めるであろうと見ている。だから〝お土産〟で中国に繋いでおく必要があった。今回の温家宝訪朝の本当の狙いは、タイミングから言って、米朝接近を阻止することにあったのではないか、と私は見ているのである。
 
 他方アメリカは、何度も本コラムで書いてきたように、仮に金正日政権が核ミサイルを所有しても、相互抑止という観点からすればアメリカの敵ではない。アメリカにとって北朝鮮の核が脅威の対象になるのは、金正日政権が中近東に核技術やミサイルを売りさばくこと、核の水平拡散が始まることである。
 
 今ひとつ米中が恐れているのは、北の核保有を理由に、韓国、日本、台湾が核保有に動き出すことである。この場合米中の利害は一致する。6者協議に台湾は入っていないが、日本と韓国はメンバーである。金正日政権が核放棄しないことを知りながら、米中が6者協議、6者協議と空疎なことを言っている本当の狙いは、日韓の核保有を押さえ込む謀略ではないのかとさえ思える。金正日政権は、米中のこの思惑をうまく利用し、今後も物などをせしめ、生き延びを計るであろう。
 
 最近、韓国の外交通商部が、1994年のジュネーブ協定以来、米、日、韓の3国が「金正日政権の非核化」と称して、総額22億1000万ドル、2007億円も金正日政権に騙し取られているとまとめている(10月5日付読売新聞)。この事実を米中は知らないはずがない。米中は金正日政権が核を放棄するなどと本音では考えていない。だとすれば、何のための6者協議なのか。日韓の核保有を抑止するための国際会議という隠れたテーマがある、と思わざるを得ない。
 
 日本は、こんな6者協議に何故付き合わなければならないのか。10月2日本欄で提案した拉致被害者の返還と万景峰号入港を取引すべく独自の行動をすぐ起こすべきである。
 
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