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2009年08月15日 00:00
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対談 ― 韓日米との新機軸を(上)
北の本質知らぬ米外交の弱さ

 金正日の後継者争い、5月の核実験、クリントン元大統領の電撃訪朝と、韓半島をめぐる情勢は常に変化を見せている。長く半島問題に取り組んできた専門家の佐藤勝巳氏と、本紙論説委員の洪熒氏が現状と今後の韓日の課題について語った。
 
   金正日は4日、クリントン元大統領を平壌まで来させ、自分の健康・健在を誇示した。金正日の医学的寿命はオバマ大統領の任期より長いと思うか。

 佐藤  長くないと思う。金正日は脳梗塞だけでなく、いろんな病気を併発させる糖尿病を抱えている。この前の集会の時の姿と、クリントン氏に会った時とでは、かなり感じが違う。日によって体調に波があるということだろう。

   金正日の寿命が長くないとすると、オバマ政権に対して、自分が生きているうちに何かをしたいと焦っているとも考えられる。

 佐藤  より安定した体制を作って残したいという思いが強いのだろう。側近も、金正日死後に体制が維持できる状態を作りたいと考えている。私はこれを「お言葉政治」と言うが、祖父がこう言った、父がこう言ったといって、3代目の自分を権威づける。これを側近らが支えることで利害が一致する。だから、金正日が死んでも体制が直ちに崩壊するとは思わない。昔の政治局のように、国防委員会が中心になって今の独裁体制を維持しようとするだろう。

   クリントンが突然平壌を訪れた。表向きは米国人記者二人の奪還だったが、それ以外の交渉もあったように思える。

 佐藤  米国がまた北に譲歩したのかと思われがちだが、基本的には米国の勝利だと思う。当面の課題だった二人の記者を奪還したからだ。北としては、米国との付き合いは非常に大切。二人を釈放することで、米朝2国間の交渉へともって行き、過去2度も米国を騙したように、また油や食糧をよこせとか、敵対関係の清算だのと、従来とまったく同じ手口を使うだろう。

   オバマ政権はこれにどう対応するだろうか。

 佐藤  クリントン氏の帰国後、国務長官も二人の釈放と核問題は別だといっている。だが、問題は言葉でなく行動だ。この点で私は、米国の勝利だと思う。

   「米国の勝利」を確信する米国の行動とは。

 佐藤  核物質を積んだと見られる「江南号」が、6月中旬に米国第7艦隊のイージス艦と航空機に追いかけられた。北はいまだ抗議声明を出していない。結局、このままでは大変なことになる、もう一度米国を騙そうではないか、ということで話し合いを提案した。北は米国の武力の前に膝をつき、米国は第7艦隊を動かすことによって、二人を奪還したといえる。

   今後のポイントは。

 佐藤  人道問題と核を本当に別問題にするかだ。オバマ大統領や国務長官の言葉を信じるなら、米国は国連の決議を根拠にもっと締め上げることになる。そうなれば金正日政権はもたない。だが、私はそうならないと見ている。

 洪  米国は7月下旬、北に対し、包括的な「パッケージ戦略」で臨むと明らかにした。米国としては、北は何かモノを与えれば、話し合いに乗ってくるとの前提がある。そうでない限り、あんな提案が出るはずがない。

 佐藤 この認識は、ブッシュ政権も、クリントン政権も同じだった。オバマ政権もまた、何かを与えることで、北を変えられるという認識を持っている。この認識が変わらない限り、段階的にせよ、パッケージにせよ、騙されるだけだ。米国外交の弱さは、金正日体制の本質が分かっていないことだ。二人の記者を取り返したように、軍事力、抑止力を行使しない限り北は動かない。

   だが、オバマ政権の対北戦略は、ブッシュ政権よりは原則的だと思う。

 佐藤  確かに米国政権は、よく言われるように、民主党だから弱腰、共和党だから強硬だという図式で説明できない。国際政治は流動的だから、ある局面だけを切り取って見ることもできない。ただ、米政権で北の核問題は、政策順位として最重要課題に位置づけられていないのは確かだ。最重要課題は中東で、恐らくオバマ政権のアジアにおける最優先政策は、対中政策だ。北は対中政策の一枝葉的なものという位置づけだろう。

   核問題は重要課題ではないのか。

 佐藤  核は拡散さえしなければいい、という認識が何となく感じられる。「パッケージ戦略」と聞いた瞬間、従来とまったく変わっていないと感じた。

   韓国や日本はどう動くべきか。

 佐藤  米国が二人の記者を釈放させるため思い切って動いたのに、日本政府は米国に注文をつけたのか。クリントン氏が金正日との会談で、拉致の再調査を促したそうだが、ブッシュ前大統領が06年に横田めぐみさんの母に会い、理解と協力を約束したのにその後何をしたか。問題解決どころか、テロ支援国家指定を解除したではないか。

   3年前の北の核実験後、国連の制裁措置を日本が主導した。だが、米国はすぐその制裁決議を無視し、「無能力化」した。今も似たことが起きようとしている。

 佐藤  ブッシュ政権は国連の制裁決議1718号の無力化の主犯、戦犯1号だ。パッケージ交渉が始まれば、オバマ政権が国連の制裁決議1874号の無力化の主犯、戦犯2号になる。

   そうなると、米国はやはり信用できないとなるから、韓日はオバマ政権の行動を見極めることが非常に重要になってくる。

 佐藤  私は、原則的立場で動く半分、国連の制裁決議を形骸化させるが半分だと思う。米国の国内政治や世論の動向によって決まるだろう。日韓は自国の利益と安保を踏まえて米国にものを言い、同時に行動も取るべきだ。でないとバカにされる。北朝鮮にしてみれば、日韓がごちゃごちゃ言っても、最終的には米国が言うことを聞かせてくれるということになる。今までそうだったように。

2009-08-15 14面
 
対談 ― 韓日米との新機軸を(中)
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記事: 統一日報社 (info@onekoreanews.net)  
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