金成萬(前海軍作戦司令官)
国内言論の報道(2009.5.31)によると、国防部が海兵隊兵力3,200人の減軍案を国会に提出した。「国防改革2020」の修正案に盛込まれた内容だ。海兵隊の現兵力は総27,000人だ。相当の減縮規模だ。減縮部隊は、西海5島(白翎島、延坪島など)を防御する部隊と金浦半島を護る第2師団だという。すべてがわが国の安保に死活的な部隊だ。現在3,000人余りと1,000人余りが駐留中の白翎島と延坪島には各々大隊と中隊級の兵力のみが残ると思われる。今直ぐ減縮することではない。
ところが、北韓は2009年5月27日、停戦協定の無効を宣言して、「西海5島」に対する法的地位を否定し、韓半島が戦争状態へ突入するという声明を発表した。北側の一方的なごり押しの主張であるものの、西海の5島はすでに戦争状態だ。周辺海域でも「第3次延坪海戦」がいつ勃発するか分からない一触即発の危機だ。今度は、「海戦」がそのまま「西海5島」へと戦場が拡大する可能性もある。北韓はすでに理性を失っている。もしかすると、全面戦争へと拡大することもあり得る。
それで、韓米連合軍司令部(ROK-US Combined Forces Command)は、今回の事態を非常に深刻なものと見て、5月28日、対北情報監視態勢(Watch-con)を3段階から2段階に格上げした。ジョージ・ケイシー米陸軍参謀総長は、5月28日テロリストや極端主義者などとの葛藤が続く状況でも、必要なら北韓との在来式戦争に備えられると明らかにした。アメリカは、韓半島の危機高潮により、5月29日、F-22ステルス戦闘機12機を米本土から日本(沖縄基地)に緊急配置した。こういう状況の下で海兵隊減縮のニュースが伝えられたのだ。金浦地域と「西海5島」に住む国民の衝撃は途方もないはずだ。
わが海兵隊は、韓国戦争(統営・仁川上陸作戦など)とベトナム戦(チャビンドン戦闘など)を通じて、戦闘力が世界で最強と評価されている。一当百の戦闘力という評価に異議がない。それで最も重要な戦略地域である「西海5島」と金浦半島を防御している。「西海5島」の防御のためには最小1ヶ師団が必要だという意見だ。台湾が護る金門道の防御戦力と比較すると1ヶ師団もむしろ足りない。ところが、わが海兵隊は、せいぜい4千人でこれを60年以上堅固に護っているのだ。
金浦半島と江華島、席毛島、喬桐島、ボルム島、マル島などを護る海兵2師団もそうだ。250Km以上の長い海岸線を持っている。防御正面があまりにも広くて、3ヶ師団が防御すべきだという研究結果もある。そして浦項にある海兵1上陸師団は、韓国軍で唯一即刻に運用可能な戦略予備戦力だ。北韓は海兵師団の上陸に備えて、東西海岸に数個の軍団兵力を配置している。このように海兵隊は2ヶ師団と1ヶ旅団の小規模だが、戦・平時の機能と役割は重大だ。
今度の海兵隊減縮案は、今の安保状況と関係なく直ちに廃棄されねばならない。そうしないと、ややもすれば、北韓側に「西海5島」を放棄するという誤ったシグナルを送ることになり兼ねない。特に、海兵2師団の兵力減縮は、ソウル防御に対する誤った信号になり得る。海兵将兵の士気の次元でない。韓国の生存問題だ。
そして言論は、「西海5島」に配置された戦闘装備も非常に劣悪なものと報道した。K-9自走砲とミストラル対空ミサイル、20mmバルカン砲などで補強したものの、海岸砲の大部分は2次大戦で使われたM-47とM-48電車の砲塔を離して設置したものだという。北韓の新型海岸砲(122mm、130mm)に対する効果的な対応手段になれないというのが軍内外の指摘だ。即刻の装備改善が必要だ。今度の海兵隊減縮案に対しては全国民が立ち上がってこれを廃棄させねばならない。
金成萬予備役海軍中将(前海軍作戦司令官、延坪島電探監視隊長)
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