李東馥
4月8日行われた京畿道の教育監選挙で「全教組」が支持した金相坤候補が当選した。今、初中等学校の教育現場で、「全教組」による(左派・反国家)理念教育からの「公害」追放キャンペーンが全国的に力を増している状況の中で起きた、この流れに逆行する京畿道教育監選挙の結果は衝撃的だ。
たとえ、教育監の選挙が候補の政党への所属を許さない、形式的な政治的中立を標榜しているとはいえ、今の教育界の状態は、各市・道単位で、事実上教育行政の首長である教育監のポストを狙う「全教組」の総力攻勢のため、市・道教育監の選挙は、熾烈を極まる左・右の勢力対決の場になっているのが厳然たる現実だ。
このため、一昨年12月の第18代大統領選挙で勝利して10年間の左派天下にけりをつけてからもまだ確固たる政治的支持基盤を固められずにいる李明博大統領のハンナラ党政権の立場では、市・郡教育監選挙は逃してはいけない決戦の舞台になるのが当然だ。しかも、首都ソウルを4面から包囲している京畿道の教育監選挙の重要性は言うまでもない。
有権者850万5056人の中で104万5767人が投票した今回の京畿道教育監選挙の投票率は、歴代の市・郡教育監選挙の中で最低の12.3%で、勝利した「全教組」出身の金相坤氏が41万2千余票を、次点者になった現教育監の金鎮春候補が7余万票が少ない34万8千余票を得票した。 この得票結果は、現与党のハンナラ党の執権能力に決定的に疑問を提起するものだ。この得票結果や当選者と次点者の得票差なら、もしハンナラ党が党員や党員家族らの票だけを取りまとめても逆戦できたはずであることが明らかだ。
一言でハンナラ党は駄目だ。この有様でハンナラ党が果たして与党の役割ができるか? 今の時局は、盧武鉉一家が皆関わった在任中の不法資金収賄嫌疑、鄭東泳前大統領候補の国会議員補欠選挙(4月)出馬によってもたらされた党分裂の危機と、このため底を突く民主党の支持度、それに「全教組」に対する国民的嫌悪感の増幅が重なる中、ハンナラ党は相対的に高い支持度を保っている。ハンナラ党が党の力を集中させたら、今回の京畿道教育監選挙での勝利は、確実だったと言っても過言でない。
ハンナラ党は、当然、非「全教組」候補たちの候補一本化を実現させるか、せめて党員たちを督励してハンナラ党の立場で最善だと思われる一人の非「全教組」候補に票を集中させることで、「全教組」支持候補の当選を阻止する程度の政治力を発揮すべきだった。この程度の政治運用ができないなら、ハンナラ党が今のような巨大議席を持つ恐龍としての存在価値はない。
何よりもぞっとするのは、もはや京畿道を掌握した「全教組」が、これから京畿道の教育現場で起こす「教育大乱」と、これが全国の教育現場に及ぼす波紋だ。党員の票すら段取りできず今回の選挙結果を招いたハンナラ党が、どういう精神と余力でこれから遣って来るはずの教育大乱に効果的に対処するのか考えるだけで目まいがする。ここまで大小便も処理できないほどの無気力な不姙政党なら、その間も何回も議論されたことだが、ハンナラ党は潔く解体し、議席数は減ってもやるべきことを求めて、そしてそれができる志のある人々で構成する新しい執権政党が出現できるよう道を譲るのが望ましい。
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