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2009年02月15日 01:58
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自叙伝に見る朴槿恵のアイデンティティ‐(下)
朴槿恵の自叙伝を中心に朴槿恵の過去と現在を分析した文が専門家コラムの中で1-2位に挙げられた。筆者が期待した以上大きな反響を呼び起こしたようだ。今回は、朴槿恵の中国観や読書傾向、そして政治スタイルを論じてみる。
李柱天(圓光大学史学科教授)
前回の書評で、書けなかった話をもう少し深く取り扱ってみたい。
 
1. 朴槿恵が見せる中国に対する認識は概ね友好的だ。北核問題の解決を中国に依存しようとする点では、アメリカ行政府の認識と軌を共にする。これで中国問題に対する認識が充分なのかに対して疑問を感じる。朴槿恵は、2005年と2006年、二度中国を訪問した。「私は中国が恐ろしいと思った。巨大な土地、途方もない資源や多くの人材を持った中国が、覚えるべき点があれば誰からも学び、成功した制度があるとその制度を躊躇なく持ってきて使っていた」。ここでは朴槿恵の洞察力は光る。「彼らが学びたいと思うような、21世紀型の発展モデルを作らなければならない。」(p.321)では愛国心が沸き出る。
 
だが、朴槿恵は、中国の北韓に対する利害関係、北韓への介入を正当化させる東北工程に対しては何の言及がない。少数民族に対する抑圧策やチベット事態の流血鎮圧に対しても言及を避けている。中華主義や中国の民族主義の危険性、一党独裁の共産党の弊害などは、すでに言論に指摘されている。結局、多く旅行をして、走馬看山式に中国に対する断片的知識は持っているものの、歴史的眼目や深い分析が欠けていると見るべきではないだろうか?
 
2. 朴槿恵の偏向的読書傾向、つまり、自分が好む本、ないし、読みやすい本を読む読書習慣によれば、結局、現実問題に対して熾烈さよりは、皮相的になるほかはないという暫定的結論に到達する。エルビン・トフラーに会って、「博士の著書をたくさん読みました」(p.330)。トフラーとの対話を通じて、小さな政府と原則のある対北政策で共感帯を形成したという。だが、問題は、自叙伝からはトフラーの書籍を多く読んだという跡が全く見られないという点だ。彼女は青少年時代には文学書籍、大人になってからは修養書籍を多く読んだ。好んで読んだ本が、法句経、金剛経、聖書、貞観政要、明心宝鑑などだ。だが、日本の政治家らが耽読したベストセラーの「ローマ人の物語」のような歴史の本やハイエックの「自由への道」のような自由主義書籍や、レーガンとサッチャーなど保守主義政治家たちの伝記物はほとんど触れていない。恐らく、公務に忙しくて読む暇がなかったかも知れない。姜哲煥の「収容所の歌」など脱北者たちの手記も読んだという言及が全くない。それは、結局、大韓民国が置かれた問題点に対する皮相的な認識に繋がる。
 
3.未来のビジョンに対する具体性が欠如し、曖昧だ。朴槿恵が、政治をして大統領になろうとする目的は、一言で国に「新しい希望を創ることだ」という。「希望」とは抽象名詞であり、一種の蜃気楼だ。具体性が欠けている。希望は、作るものではなく実現させること(realize or materialize)だ。朴が言及する希望は、次の一節に具体化されている。
 
「私は、この地のすべての子供たち、すべての若者たちが、学校を卒業すれば望む職場が持て、汗を流した分だけの補償を受けられ、努力した分の成功を収められる国、法と原則を守る人々が成功する、常識が通じるそのような国で生きることを所望する。そのような国を作る道に私の役割があるので、ここまで私の生がきただろう。」(p.350)
 
(1) 朴槿恵は、政府が経済成長を通じて、あるいは働き口の創出を通じて失業者を救済するということだ。小さな政府を望む朴槿恵は、成長を通じての働き口創出であって、政府が直接失業者を救済するという社会主義的発想ではないようだ。その点では盧武鉉政府と路線が違う。文体の中の希望、夢、豊かな国などの修辞からはっきりあらわれる。ビジョンが漠然で、雲をつかむようだ。どのような国を再建するということなのか分かり難い。国の根本的な、問題の核心が分かっていないためでないか? 国民所得を、具体的にいくらまで上げるということでもない。李明博候補の「747公約」は、一面非現実的にも見える。だが、李大統領の公約に比べて、具体性(現実性)がはるかに落ちるという点だ。
 
(2) 朴槿恵は、「法と原則を守る人々が成功する国」を言及し、法治主義を強調する。ところで、自叙伝で強調した法治主義は、実際に現実的な適用ではポピュリズムに押されて言動の不一致を見せている。昨年の「ロウソク乱動」示威でソウルの光化門の都心地が、ロウソクで燃えていたが、朴槿恵は法と原則を強調しなかった。人気や票にこだわり、人気発言に汲々としていたのではないか? 「ロウソク」示威隊が暴れまくり、警察を暴行することも「参与民主主義」の真面目なのか? 法治主義は、不法暴力輩には厳格な法の適用が必要で、温情主義は困る。100日余り続いた「ロウソク乱動」の渦中で、朴槿恵は法治主義とポピュリズムの中間に立ち、確固たるスタンスを取らなかった。
 
朴槿恵の政治的判断力において二つの致命的問題が発見される。
1.2002年度の話頭は、保守愛国勢力が期待する政権交替だった。ところが、朴槿恵にとっては、政権交替より政治改革が話頭だった。政治学者や知識人らのような理想主義者なら理解出来るが、現実主義者であるべき政党政治家が、政権獲得をさて置き、政治改革を優先視するという点は理解し難い。朴槿恵の離党の理由は、ハンナラ党が政治改革に反対したためだったと言う。2002年に、李会昌は約51万票という僅かな差で敗北した。もし、朴槿恵が脱党という意地悪を働かせ、ハンナラ党を揺さぶらなかったら、また、金正日に会いに北韓を訪問しなかったら、大統領選挙の結果はどうなっただろうか? 自身の離党に対する政治的責任や反省はせず、「運命はもう一度ハンナラ党を外面した」という式に書いた。興味深い点は、ハンナラ党の敗北を分析するのにおいて、自らの離党のためでもなく、「ヒョスン・ミスンの米軍装甲車事件」による反米・左傾化した韓国社会の雰囲気のせいでもなく、単に「運命」のせいにしている(p.205)。大統領選の敗北以後の難破直前のハンナラ党を救ったのは、運命でなく自分の渾身の努力だったを強調する。この点で朴槿恵は率直でない。
 
2. 朴槿恵の致命的な判断力のミスは、憲法と約束との関係において混同を見せているという点だ。朴槿恵が、(国民であれ相手の政党であれ)やった約束と、大韓民国の憲法との関係でどちらが上位概念なのか? 憲法学者によれば、当然憲法が優先でなければならない。しかし、朴槿恵は、自身がやった約束が憲法より上位にあると、そのように対応している。自叙伝の部分「約束のための選択」の章で、その点がよくあらわれている。第16代国会で通過した新行政首都特別法が、2004年10月21日、憲法裁判所で違憲判決を受けた。ハンナラ党の分裂が激しくなった。違憲判決を受けたから、最初から無かったことにして源泉反対しようという意見が少数だったが、当然法理論的な論理だった。しかし、当時の朴槿恵党代表は、「特別委で合意を導き出して議員総会で党論を決めよう」と結論を下す。2月23日、与野党が特別委で合意した案は、12部4処2庁を燕岐・公州地域へ移転し、国家財政の支出上限線を8兆5千億ウォンに定める案だった。結局、ハンナラ党は議員総会を開き、46対37で可決させた。朴世一議員は議員職を辞退し、朴槿恵は「党論」を守ったと自身の行為を擁護する。ホームページで朴槿恵は、「約束を守ってこそ信頼を得るというのは人間社会の基本」であると強調した。ハンナラ党の党論や朴槿恵の約束守りが、大韓民国の憲法より上位にあるのかを訊ねたい。これはそれこそ大きな錯覚であり、法治主義の違反だ。民主社会では、法より原則が優位でなく、原則より法が優位だ。だが、こういう初歩的な基準を、政治家の朴槿恵が混同している点で深刻な判断力の問題が露呈されるのだ。
 
自叙伝から見られる朴槿恵の政治スタイルは、次の三つの特徴に要約できる。①イメージ政治-常に朴正煕のイメージを連想させながら有権者に接近する。②感性政治-論理的に近づき大衆に合理的に訴えず、同情を誘発する。内面的に朴槿恵の政治目的は、お父さんの朴正煕の再評価に強い執着を見せている。③怨念(怨み)晴らしの政治-朴正煕政府時代にぺこぺこしながら忠誠を誓った人物らが、一夜で裏切って背を向けるや、18年間も隠遁と蟄居の中に切歯腐心、臥薪嘗胆しながら政界に復帰し、自身の名誉回復を狙う。
 
一節ごとに権力の絶頂で両親を失い、激甚な精神的苦痛を耐えねばならなかった孤独な人間の一人立ちがよく表現されている。韓国民に送る、感性や同情心に訴える女性らしい書き方の魅力は引き立つ。回顧録とは、本当に堂々としたり勇気のある者だけが書ける。回顧録とは、真正性があって率直でなければならない。内面の悩みと思想が滲み出なければならない。ともすると、ほとんど自己弁護か自己広報宣伝物に転落することになるのだ。
 
朴槿恵は、自叙伝から、論争の種になるか論難を招く素地があるか票が落ちかねない懸案は内容から全部排除している。すでに世間に広く知られた逸話である、自分に大統領に向かう夢解きをしてくれた、李成桂の「無学大師」格だった「崔太敏」牧師との運命の出会いの件に対しても何の言及がない。2006年、金泳三前大統領や黄長燁先生と一緒にミュージカル「燿徳ストーリー」を見て北韓人権の惨酷状に対して涙を流した感動の記憶も落ちた。北韓人権や韓半島の統一方式に対しても、金正日を意識したのか敢えて回避し、何の言及がない。「6.15共同宣言」に対しての友好的認識や、金大中を何度も訪ねて朴正煕記念館建立に対する感謝や助けを乞い、「嶺湖南の和解」に対する支援および「統合型指導者」としての抱負とビジョンを明らかにした件も一切省略した。そのような点で、朴槿恵の回顧録は、「半分の真実」のみを書いている。巷に広く膾炙される、朴槿恵に対する「手帳公主(王女)」のイメージを払拭させるより一層増幅させてしまった。
 
朴槿恵の自叙伝が、インターネット時代に一般大衆にどれほど感性的にアピールしたか分からないが、政治分析家や識者層には、政治家が具えるべき歴史的眼目や通察力という徳目の側面からは説得力が多く落ちる。もちろん、政治家は知識人や専門家のように多くの博学な知識が必要なわけではないが、国家の経営と自身の確固たるアイデンティティの確立に必ず必要な重要な知性のレベルは、是非学習し、到達せねばならないことは古今の真理だ。朴槿恵は、このような点で、深い悩みと凄絶な自己省察があってほしい。李明博大統領や李会昌総裁よりもっと立派な政治家になってほしいとの念願からの話である。
 
http://www.independent.co.kr 2009.01.15 21:34:35
 
自叙伝に見る朴槿恵のアイデンティティー‐(上)
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