アンドレイ・ランコフ(国民大学教授)
今の南と北の経済や社会を比較してみる時、唯一の統一方法は吸収統一だと思われます。
韓国の経済や生活レベルは、北朝鮮のほとんどの人が夢でも見られないほど高いです。北朝鮮のほとんどの人は、白い飯を食べる家ならお金持ちの家だと思っている反面、南の人々は自家用車を10年以上乗るのを嫌います。
北大きなで体制が揺らぐと、韓国が大きな魅力として映るはずです。北朝鮮の平凡な人々が南の生活の真実が分かれば、当然彼らも韓国のように生きることを望むでしょう。また、彼らは単純で漠然と、南と北が統一されれば、北朝鮮も韓国と同じ生活レベルにすぐ達すると思うでしょう。
しかし、ここには単純でない問題があります。統一後も、大部分の北朝鮮の人は暫らく、南の人々と同じレベルの暮らしはできないでしょう。南と北の経済レベルの格差があまり大きくて、この格差を減らすためには短ければ15年、長ければ20年以上の時間が必要でしょう。
また北朝鮮の人々が韓国ほど豊かになるためには、北朝鮮の人々も南の人々ほど働かねばなりません。だが、残念ながら統一の段階で北の人々は南の人々ほど仕事ができません。
北朝鮮の人が怠けるということでは決してありません。北も南も同じ民族ですから。しかし、遅れて孤立した社会で育った北朝鮮の人々は、現代的技術を覚える機会がありませんでした。それで統一後も北朝鮮の大部分の人々は、暫らくは生産性も低く所得も低い仕事のみができるはずです。
これがまさに私が心配した問題です。もちろん、統一は北の人々の生活水準を一定のレベルまで引き上げます。統一後、北でも白い飯を毎日食べられ、中古車程度は持てるでしょう。
だが、北朝鮮の人々はこの新しい生活に直ぐ慣れるだろうし、その後は同じ民族の南側の生活水準を望むはずです。はやくそのレベルに到達できないと、失望して金持ちの南に対し羨みと敵対感が生じるでしょう。そしてこの敵対感は南北の精神的な分断をもたらし得ます。
このような状況を防ぐためには一つの方法しかありません。遺憾ながら現実を認識することです。平壌の為政者らの(失敗した)政策は深刻な南北格差をもたらし、この格差は一夜で克服できないほど大きくなりつつある現実です。この現実をよく理解し受け入れる努力が必要です。
事実、政治的な統一は、統一の第一歩です。外勢の圧力と独裁政権の野心がもたらした後遺症を克服するためには政治的統一以後、もっと多くの時間を必要とします。
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