張真晟(脱北詩人)
李明博朴大統領が、10月18日青瓦台(大統領府)で直接主宰した「外交安保政策調整会議」で、「北朝鮮が私の悪口を続けているのに、なぜ黙っているのか」と言ったそうだ。北朝鮮は最近、李明博大統領を「逆徒」、「売国奴」、「戦争狂信者」、「詐欺師」という言葉を用いて非難している。
このような言葉は、私的な関係でも口にし難い悪言だ。国家でなく、「金正日王朝」という理由で、国際的礼儀も弁えていない北朝鮮を、われわれがどのような政策をもって圧迫しても実は直らないのは当然だ。問題は、われわれ韓国の対応の方式だ。
李明博大統領が自ら、「自分の悪口を続けているのに...」と言わねばならない程、わが韓国政府には礼儀や感情、自尊心のある人がただ一人もいなかったのか? これは、左派の10年間、われわれの対北対応力が、如何に国家の尊厳や相互主義の価値なしに一方的で空虚なものだったのかを反証する事例でもある。
確かに、政府は変わった。親北・親金正日の太陽政策は終わり、北朝鮮の顔色をうかがった過去とは違い、今は金正日に向かって堂々と非核や開放を要求し、その代償で3000ドルの国民所得を約束する、新しい実用主義の対北政策も出した。しかし、政府や政策が変わったものの、人までは変わっていない。つまり、統一部の対応方式や対北情緒は依然として変わっていない。
彼らは、未だ太陽政策の慣性に捕われて、南北関係を新しい実用主義の基準を持ってでなく、過去の「友好関係」をもってのみ見ている。実用の原則というのは、行動対行動、言葉対言葉の原則だ。北朝鮮が対話を拒否したら我々は支援してはならず、(北側が)支援を求めてくると、われわれは代わりに開放を要求しなければならない。
だが、統一部は「通米封南」という言葉一つに運命が掛かっているかのように、北朝鮮が望む南北対話の方式のみを追求している。北朝鮮から「わが民族同士」の優待を受けるためには、(韓国が)親北・親金正日化されねばならない。最大の問題(原因)は青瓦台にあると見られる。
実用主義の原則を一度提示したら、「実用」の基準から脱線しないように対北言行が一致しなければならないのに、韓半島の状況によって(こちらが)先に変わり、それで進んで北朝鮮にやられてきたのだ。今でも、わが政府は、(こちらが)変わったということを北朝鮮に確実に示さねばならない。そして、今まで「北朝鮮の実用」に慣らされた「太陽政策」の韓国でなく、今からは北朝鮮自らが、われわれの実用に適応するようにしなければならない。
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