趙甲済
最近サンフランシスコに住むアメリカの若いエリートたちが集まって討論をやった。ここに参加したある在米韓国人は、主題が「米国はなぜ覇気と闘志のない国になったのか」だったと伝えてきた。討論は一つの結論に至ったという。ニクソン大統領の時の1973年、徴兵制を志願制に変えたのが米国の危機を招いたという結論だった。当時アメリカはベトナム戦に反対する運動が激しく、そのような雰囲気の中で共産主義者らに有利な「ベトナム平和協定」が結ばれ、米国は撤軍を始めて、ニクソンはウォーターゲート事件でコーナーに追い込まれていた時だった。
反戦ムードの中、徴兵制が廃止され志願制に変わるや、貧しい家の出身が国家が提供する特典を求め軍隊に志願し、金持ちらの子供は金儲けに熱中するようになり国家的緊張が緩むようになったということだ。アメリカの戦略概念も戦争で犠牲者を最小限にする方向で設定された。イラク戦争で米軍の戦死者が4000人を越えるや反戦世論が起き、ブッシュ行政府を政治的に無力化させた。5万人以上も戦死した韓国戦やベトナム戦のような戦争を米国が遂行する国家的意志は消えた。金正日政権は米国のこの弱点を看破し、瀬戸際戦術を使い核武装に成功した。
ローマが衰え始めたのも、市民軍制度から賃仕事の軍隊、すなわち傭兵制度に変わったことに原因の一つがあったという。
韓国でも選挙の季節になると志願兵制度に変えるべきだという主張が出る。韓国はアメリカやヨーロッパのような軍事文化がなかった国だ。幸いに、大韓民国の樹立後、北朝鮮政権に立向かって国を護る過程で、強軍を持つようになり、国民皆兵制を通じて軍事文化が社会に定着しながら、規律と節度のある国民に変わった。
文弱な民族性が、文武兼備の堅実な民族性に変わったところには、国民皆兵制が決定的な役割をなした。若者たちは、「全教組」の反逆的教育や大学の就職中心の教育にさらされ、愛国心を涵養する機会は軍隊生活だけだ。軍隊は、平和時は健全な市民を育成する「軍大」だ。在学生が70万人で、毎年の卒業生が30万人もある最も大きな大学だ。愛国心、遵法精神、組織活動、強い体力と精神力を育てる巨大な制度があるということは韓国の祝福だ。
国民皆兵制は永久に保たれるべきである。統一以後もそうだ。経済、軍事、科学はいつも一緒に発展してきた。自主精神と実用精神はこういう雰囲気の中で涵養される。軍事文化の伝統が強いところでのみ、民主主義が花を咲かせている。軍隊は民主主義の土壌であり垣根だ。
|