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2008年09月02日 00:00
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韓中の戦略的パートナーシップ 
 中国が初めて開いたオリンピックの熱気も冷めない8月25日、中国の胡錦濤国家主席はソウルを訪問し、韓国の李明博大統領と会談し、共同声明を発表した。両首脳は、韓中関係は双方にとって重要との認識で一致し、5月の首脳会談で打ち出したパートナーシップ協力関係を戦略的パートナーシップ関係に高め、全面的な両国協力体制を推進することに合意した。五輪後の経済発展と外交方向を模索する中国と、朝鮮半島の平和と統一の条件を探る韓国の歩調は一致した。
 声明で注目される点はまず、両国政府首脳が頻繁に相互訪問と接触を図り、交流と協力を推進すると合意したことだ。中国と韓国の政権首脳が交流を深めることは、両国と両国民の交流、協力に大きな効果をもたらす。

2つの実利外交の出合い

 外交当局による高官級戦略会議の初会合が年内に開催されることになり、実務級業務協議体制の定例化が図られるほか、国防当局の高官級相互訪問の活性化と相互連絡体制の強化などを通じ、幅広い領域で交流と協力を推進することになった。
 このような関係発展は、中国が朝鮮半島の南北に対して課題ごとに是々非々で臨むとの意思表示と受け取れる。南北関係打開の環境が格段に改善されることを意味するだろう。李明博政権の実利外交は中国の対北姿勢に変化をもたらすはずだ。
 戦略的パートナーシップ関係は、同盟関係に次いで高い国家関係に使われる言葉とされるから、韓中関係は、社会体制の異なる国家同士の関係としては最も高い関係を結んだといえる。もっとも、社会主義圏が崩壊したあと、多方面の実利的な関係強化にこの言葉が使われることから、韓中共同声明は中国式実利主義と韓国式実利主義とを結ぶ便法といっていいかも知れない。個人崇拝の「主体思想」にこだわる北指導部を疎んじる中国指導部にとって、現実重視の韓国政権はくみしやすいのかも知らない。

FTA締結交渉も本格化

 注目される第2の点は、盧武鉉政権時代の2005年に合意した韓中経済通商協力ビジョンを補完して、韓中自由貿易協定(FTA)締結を積極的に検討すると合意したことだ。盧武鉉時代に交易2000億ドル達成を2012年の目標としたが、それがFTA締結により2年前倒しで実現される見通しだ。韓中はひとつの経済圏への入り口に入ろうとしている。
 現在600万人規模の人的交流を広げるためビザの緩和などの措置を取ることにも合意した。山東省に向かい合う韓国・光州にも中国総領事館が開設されることになった。
 さらに両国は、国連をはじめ地域や国際社会での協力強化、環境保護・エネルギー・通信・金融・物流分野での協力強化、良好な投資環境の造成、自然災害・気候変動に対応するための協力、大量破壊兵器・テロリズムへの対応協力拡大など広範囲な分野で合意した。

東アジア変革のリード役に

 韓国と中国との全面的協力関係構築は歴史的と言っていい。胡錦濤主席は26日の韓国財界人との懇談で、こう述べた。
 「中国と韓国は地理的に近く、文化も通じ、経済の相互関連性も強い。経済貿易協力に向けた良い自然・人文条件を備えている。複雑かつ変化する国際経済環境のなかで両国経済が直面する挑戦をうまく勝ち抜いていかなければならない」「両国企業は国際基準の制定、国際市場の開拓、地域一体化の過程で協力を拡大することが可能だ」
 失速も懸念される五輪後の中国経済、伸び悩む今の韓国経済、その双方が直面している課題を言い表している。
 50、60、70年代に多大な犠牲を払って築いた中国の経済体制と韓国の実践的な市場経済体制とが、平等互恵の原則に立ってうまく出合うなら、21世紀の東アジアの変革をリードできる。
 いわゆる「東北工程」で中国は東アジアと朝鮮半島の古代史を歪曲しようとした。このような現実も踏まえながら、中国との戦略的パートナーシップ関係の構築にあたっては、中国の持つ国家理念、政治戦略に対し、韓国として揺るがぬ国家理念と戦略を堅持すべきことは言うまでもない。

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