1988年、ソウル・オリンピックの開幕式の主題は「壁を乗り越えて」であった。英語で「Breaking down the wall」だった。テーマソングが「手に手を取って」の英語の歌詞にも「Breaking down the wall」という件が出る。
理念・人種・宗教の壁を乗り越え、全世界が和合しようという意を入れた主題だった。青い芝に回し輪の少年が登場し、世界の人が希求する平和を象徴した。テコンド(跆拳道)団の集団撃破も壁を壊そうという意だった。
ソウル・オリンピックを準備しながら、全斗煥・盧泰愚政府は、「ソウルは世界へ、世界はソウルへ」というスローガンを使用した。ソウル・オリンピックの役割が東西冷戦の壁を乗り越えて、韓国を世界の主流へと浮上させた点はスローガン(予言)の実現というに値する。
8月8日の北京オリンピックの開幕式は、中国の自信と同時に傲慢を見せてくれた。「中華主義」の表現だった。世界の人々にこの開幕式は物量面で、また技術面で圧倒的衝撃を与えただろう。だが、このような疑問が残った。世界の人々の祭りであるオリンピックをこのような形の国粋的な宣伝に利用していいだろうか? 中国が人類文明に及ぼした巨大な影響力を想起させた点では成果(意味)があったかも知れないが、「壁を乗り越えて」のような普遍的理想は感じられなかった。
1988年のソウル・オリンピックには、ソ連と中国および東欧共産圏の国々が全部が参加して、1976年のモントリオール・オリンピック以後初めて完全な祭りになった。スポーツを国策事業として育成した共産圏の人々のオリンピックのテレビ中継の視聴率はすごかった。彼らは、「ファッショ独裁国家」として、「米帝の植民地国家」として、「韓国戦争の廃虚」としてのみ思っていた韓国の、素晴らしい競技運営と発展像に衝撃を受けたという。
「韓国もあのような立派な暮らしをしているのに、我々は何なのか?"という反発心が生じ、この心理がその1年後の東欧共産圏の国々を順に民主化させるのに一助したという。1989年11月のベルリンの壁が崩れた時、デモ隊は「手に手を取って」を合唱したという。
愛国的に言うと、北京オリンピックの開幕式よりは、ソウル・オリンピックの開幕式のほうがもっと良かった。後者は歴史を動かした!
www.chogabje.com2008.08.11 00:39
趙甲済 |