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サムスン電子労使が全面ストライキの直前で導き出した賃金交渉の暫定合意は、韓国の労働市場全体に重い課題を突き付けた。営業利益の一定割合を成果給として支給する「分配方式」の導入は、一見すると先進的な労使協調に見える。しかし、これが普及すれば、業績の勝者と敗者の間で格差が上下に広がる二極化を決定づけかねない。長期化した交渉プロセスがもたらした組織の亀裂も含め、今回の妥結が意味する構造的リスクを分析する。
「年収7億ウォン」がもたらす衝撃
サムスン電子の労使が合意した新たな成果給制度の骨子は、営業利益の10.5%を財源とする「特別経営成果給」の新設だ。
最大の特徴は、半導体事業を担うデバイスソリューション(DS)部門に限り、今後10年間にわたって「支給上限を設けない」点にある。完成品事業を担うデバイスエクスペリエンス(DX)部門などとのバランスを考慮し、従来の成果インセンティブ(OPI)には年俸の50%という上限が維持されたが、今回の特例が全体の均衡を崩した。
仮に半導体の超活況によって年間事業成果が300兆ウォン(約31兆円)に達した場合、メモリー事業部の社員は基本年俸とは別に、特別経営成果給だけで最大5億5000万ウォンを手にする計算になる。OPIなどを加算した総支給額は額面で7億ウォンに上り、これは韓国の大企業(売上高上位500社)の平均年収(約1億280万ウォン)の約7倍、中小企業を含む正規労働者の平均年間賃金(5061万ウォン)の14倍に相当する。
問題は、サムスン電子やSKハイニックスのように、圧倒的なキャッシュ創出力を背景に「営業利益連動型・上限なし」の成果給を支給できる企業が、韓国内にほんの一握りしか存在しないという現実だ。 |