新聞社のご方針の下、今回が最後の寄稿となった。
そこで、最終回となる今回は、韓国の強みを認識することを目的として、韓国を総括して見ていくこととした。
[はじめに]
年初からベネズエラ情勢に続いて、イラン情勢も大きく変化、世界的な経済混乱も予想される中、韓国経済は、「実体経済」の側面で顕著な実績を示している。また近年、「資金力、技術力、そして一定のブランドバリューを持つ企業が増え、国際経済社会においても存在感は増している」との見方も出ている。しかし、疑問であるとの見方もあり、国際経済情勢の波に乗っているだけだという厳しい見方も一部で出ている。筆者はいずれの見方も否定しない。その上で、今回は韓国経済の強さの根源を捉えていきたいと考えている。
[最近の韓国の輸出動向]
実際に上述したように、韓国の輸出は堅調な推移を示している。本年2月の輸出は30%近く増加し、2月基準で歴代最大の実績を達成している。特に主力輸出品である半導体は160%以上の急増と共に、月間基準歴代最大実績を達成している。牽引車となっている輸出動向には今後も大いに注目をしていきたい。
[韓国経済の先行き見通し]
韓国政府系研究機関である韓国開発研究院(KDI)が発表した経済見通しの資料の中で、「韓国の2026年の経済成長率予想を従来の1・8%から1・9%に上方修正する」としている。
人工知能(AI)の普及を背景とした半導体市況の好調により、輸出や民間消費、設備投資が改善している現状を反映させたとしている。
KDIは、米国の関税政策を巡る不透明感を韓国経済の最大のリスク要因に挙げており、「米国が韓国に課す相互関税は15%になるか25%になるか分からず、現在は0%の半導体に再び課される恐れもある。昨年までは企業側が関税引き上げ分を吸収してきたが、米国の消費者に転嫁される段階になれば、半導体以外の輸出に悪影響が出るだろう」との厳しい見方を示している。
[韓日経済比較]
このような韓国経済の現状であるが、日本との比較によってその強さを認識してみたい。規模の面ではまだ日本経済に劣るが質の面では充実してきているとの評価が最近示されている。
「日本経済の没落はソニーが米国企業を上回り、世界ナンバーワンになった1992年に始まった。短期不況と長期にわたる低成長という変化に日本が対応出来なかった。現在の韓国の状況は日本と似ている。韓日の産業競争力、生産性の違いは簡単には逆転出来ないかもしれない」との見方が出て久しい。
しかし、こうした見方の裏側では、「韓国は日本に基礎開発力、製品開発力、品質力の3ポイントでは劣るが、デザイン力、低コスト製造力、販売力ではこれをリード。結果、ブランド力も日本製品に引けを取らぬところまで来ている」との評価が出、これらを総括して、「技術力の日本に対して市場力の韓国、キャッシュフローに近いのは市場力であり、企業業績という視点から比較すれば、韓国に利がある」との解を見出す韓国人も多々あることを忘れてはならない。
そして現状認識を一つの参考にしながら、日本企業は、韓国のどの部分の強みを利用し、どの部分の弱みを叩いて、比較競争優位を保つのかを検討していく必要があるのではないか?
韓国と良い意味での「競争をしながら協調をする」という経営が今の日本企業の中にもっと組み込まれても良いのではないかと筆者は考えている。
(嘉悦大学副学長、愛知淑徳大学名誉教授 真田幸光)
=おわり |