在日韓国人3世の大山徳(韓国名:夫徳柱)さんは2月28日、大阪市天王寺区の統国寺で「OSAKA BERLIN WALL ART FESTIVAL(ベルリンの壁供養祭)」を開催した。
かつて冷戦の象徴として世界を分断した「ベルリンの壁」は、今もその破片を世界各地に点在させている。本イベントは、同寺に安置された実物の壁を舞台に、負の遺産を「生の遺産」へと転換する試みだ。
大山さんの掲げるビジョンは、かつて分断を象徴した壁の歴史・記憶を呼び起こすことで”警鐘の壁”を再生、ドイツの統一後に世界各地へと散らばったベルリンの壁をつなぎ合わせ、分断を防ぐための壁へと昇華、平和の架け橋へと変えていくというものだ。これは、排外主義が台頭する現代社会で、日本社会の構成員として真に貢献する外国人の新たなモデルを提示しようとする試みである。
大山さんは本紙の取材に対し、「在日3世というギリギリの世代だからこそできる、次世代のための〝最後の作業〟として、私はこの活動に命を吹き込んでいる」とし、「かつて人を拒絶するために築かれたコンクリートの塊を、多様な表現者が集う『接続のネットワーク』へと昇華させるのが〝供養祭〟の意味」と話した。また、「朽ちて、忘れられていくベルリンの壁に在日の姿を重ねてきた。狭間に立たされた〝壁〟を供養し、ただのコンクリートに成り果てる前の意義づけを行った」としている。
大阪の地から世界へと、大山さんの分断克服の試みは、確かな希望の連鎖を広げ始めている。本イベントの後援には、ドイツ連邦共和国大使館・領事館が名を連ねた。
2月28日、装飾されたベルリンの壁の前であいさつする大山徳さん(写真=とくいさとし) |