首都圏一極集中の構造を是正し、地方消滅の危機を食い止めるための「広域行政統合(メガシティー)」をめぐる議論が急速に進んでいる。国会行政安全委員会はこのほど、光州・全羅南道、大邱・慶尚北道、大田・忠清南道をそれぞれ統合する3本の特別法案を可決した。
法案の成立により、国土の12%に人口の半数が集中する「首都圏共和国」とも称される韓国の弊害を是正する大規模な地方政府誕生への道が開かれた。ただ、6月3日の地方選挙を前に、十分な議論が行われないまま拙速に進められているとの批判も出ている。
「拙速採決」論争の中で進む行政統合
法案は、隣接する広域自治体を一体化し、行政および財政の権限を強化することを柱としている。政府は、統合後の地方政府にソウル特別市に準じる地位を付与し、最大20兆ウォン規模の財政支援を約束するなど、強力なインセンティブを打ち出した。産業政策や都市開発、予算運営を広域単位で一元化し、規模の経済を実現して地域競争力を高める構想だ。
光州・全羅南道と大邱・慶尚北道の統合特別法は与野党合意で処理された一方、大田・忠清南道特別法は国民の力所属議員が採決を欠席する中、与党単独で可決され、今後の波乱が予想される。
地方選前の完了目指すかスピード重視の背景
法案が迅速に処理された背景には、李在明大統領の強い意向があったとみられる。
李大統領は昨年12月、「地方選挙で統合自治体の首長を選出できるよう支援する」と述べ、6月3日に予定されている地方選挙前に制度整備が必要だとの認識を示していた。
与党が素早く動いたのは、大統領と歩調を合わせる狙いがあったとのではとの見方が出ている。
しかし、地域社会では住民の意見を十分に聴取しないまま進める「拙速な推進」だとの懸念も根強い。行政統合を選挙対策として利用しているのではないかとの疑念も広がっている。
とりわけ忠清南道・大田地域では反発が強い。金泰欽忠清南道知事は法案可決直後、「地方の切実な思いを踏みにじる拙速な処理だ」と強く反発した。大田地域の世論調査でも、統合反対が過半数を占めている。
光州・全羅南道では、大都市中心の体制へと再編され、農漁村地域が取り残されるのではないかとの不安があるほか、大邱・慶尚北道では公務員労組や市民団体が統合に反対している。
行政統合自治体であるメガシティー構想は、政府・与党が地方消滅への対応戦略として進めてきた政策だ。しかし、住民の生活に直結する重大な課題である以上、十分な意見集約と社会的合意が不可欠だとの指摘が出ている。 |