第30回となる「大牟田徴用犠牲者慰霊祭」が10月26日、大牟田市の甘木公園にて執り行われ、約80人が参席した。 式典には、主催者である在日本大韓民国民団福岡県地方本部の李鍾出団長をはじめ、主管の大牟田支部の金英子団長、駐福岡大韓民国総領事館の朴晉奭(パク・ジンソク)領事、関好孝・大牟田市長など、多方面からの関係者が参加し、犠牲者の冥福を祈った。 慰霊碑は、戦時下に日本へ徴用され、三井三池炭鉱などで労働を強いられた韓半島出身者を追悼するため、1995年に建立された。土地は大牟田市が無償で提供、建設費は三井系企業が負担した。碑のそばには、当時社宅の押し入れの壁に残されていた、当事者たちの望郷の思いを刻んだ記念碑も設置され、戦争の歴史を今に伝えている。 式典の中で李鍾出団長は、「この地で犠牲となった人々の苦しみと願いを決して忘れてはならない。歴史を記憶し続けることが、平和な未来を築く礎になる」と語り、参列者と共に祈りを捧げた。参加者たちは献花や黙とうを通じ、犠牲となった人たちへの追悼と平和への誓いを新たにした。地域と在日同胞社会が協力し、この記憶を次世代に引き継いでいく重要性が改めて確認された式典となった。(福岡=李将浩) 10月26日、主催者あいさつを述べる李鍾出団長(民団福岡大牟田支部提供) |