韓国教育財団(徐東湖理事長)は10月26日、都内の駐日韓国大使館で第60回奨学証書授与式を開き、奨学金を受給する学生・生徒のほか、関係者らが出席した。今回は応募者の水準が高かったと評価され、奨学生の将来に期待を込めるとともに、面接審査委員からはさらなる支援をしたいという意見も出された。
式典会場には、高校生9人、大学生26人、大学院生5人、来賓など40人が参列。オンラインでも43人が参加した。
徐東湖理事長の開会の辞が代読され、「在日韓国人社会と韓日発展のための人材として成長することを期待している」と奨学生にはなむけの言葉を贈った。
李赫大使は祝辞で「在日同胞の教育と韓日交流発展のため、長きにわたって貢献してきた韓国教育財団に感謝する」と同財団を讃えるとともに、奨学生には「韓日のために寄与できる人に成長してもらいたい」と期待を込めた。
応募者の面接審査委員を務めた東京学芸大学の李修京教授は「面談していて自分の言葉で将来を語る姿に感動を覚えた。非常に水準が高く、選考には非常に苦慮した。奨学生に選ばれた意義を考えて、自分探しをしてほしい」と講評を述べた。
奨学証書授与では、奨学生全員の名前、学校名、学年が一人ひとり読み上げられ、個別に証書が手渡された。オンライン参加の奨学生も一人ひとり紹介された。
奨学生代表で高校生の成シオンさん(東京韓国学校)、大学生の南明志さん(早稲田大学)、大学院生の洪多孝さん(東京大学大学院)がそれぞれ、韓国語でスピーチを行った。
閉会の辞では同財団理事で本紙の姜昌萬発行人が「陰で支援してきた家族や恩師の貢献を忘れず、自分の能力を向上させ、韓日の架け橋となってほしい」と激励した。
式典後に開かれた懇親会では、面接審査委員を務めた在日韓国科学技術者協会の洪政國会長が「高い志を持った優秀な人が多く、たいへん心強い。私は科学技術の専門家としてサポートしたい」と乾杯の発声をした。
洪会長は本紙記者に対し、「奨学生に対して、卒業後の進路についての知見を深める機会を与えたい。また、卒業後に各分野で活躍するOB・OGが連携し、新たな研究・事業分野に挑めるような組織づくりにも貢献したい。韓日の識者を結びつけ、両国の発展に寄与する人材育成に貢献したい」と私案を語った。
韓国教育財団は前身となる在日韓国人教育後援会として1963年、在日同胞子弟の教育支援のために設立。73年には日本政府から財団法人として認可された。奨学金支給事業、韓国政府認定の韓国語能力試験(TOPIK)を日本国内で実施運営する教育支援事業、在日同胞教育関係者らの在日韓国人教育研究大会などを主催する研究振興事業を行っている。
第60回奨学証書授与式に出席した奨学生と関係者ら
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