ワシントンが韓米関係を破局に追い込んでいる。両国間の関税交渉は膠着状態だ。韓米FTAを破棄したワシントンは、韓国に対し3500億ドルを米連邦機関が管理するSPC(特別目的会社)に入金するか、25%の関税を受け入れるよう圧迫。3500億ドルは韓国の外貨保有額の84%。韓国政府は天文学的な資金投資要求に応じるための安全装置として両国間無制限の通貨スワップ協定を要請。米側は断った。米国は韓国の国富を徹底搾取する姿勢だ。韓米同盟は今や慣性的に続いている軍事協力だけだ。ワシントンが韓国の経済主権を否定する以上、韓米関係の再定立は不可避だ。
韓米間の関税交渉で、ラトニック米商務長官は、米財務省が統制するSPCに韓国が3500億ドルを現金で直ちに入金するよう要求。韓国政府がこれに応じないと25%の関税を賦課するという。韓国は、5%以上の現金投資はできず、米国が要求する投資のためには無制限の通貨スワップ協定が必要との立場を表明した。米側は無制限の通貨スワップを拒否した。
韓国の外国為替保有額は4100億ドル(GDPの23%水準)ほどで、ほとんど米ドル表示の米国債権で保有、外国為替保有庫のうち、直ちに動員可能な現金は4・6%に過ぎない。外貨保有額4092億ドル(GDPの23%)のうち3500億ドルを正体不明のSPCに入金せよとの米側の要求は、韓国が米国債の形で保有する外貨保有額全額を米国が持つとのことだ。
貿易国家である韓国の外貨保有は危険な状況だ。IMFは韓国政府に6810億ドルを備蓄するよう勧告(2013年)した。だが、安全を期すためには、IMFの勧告の2倍が必要だ。国際決済銀行は、韓国はGDP(1兆8102億ドル)の半分の9200億ドルを備蓄するよう勧めた(04年)。韓国が不安定な国際情勢の中で外貨不足に陥らないためには、GDPの75%水準の外貨保有が必要だと専門家はいう。
もしが米国債形態の外貨保有をワシントンが指定したSPCやニューヨーク連銀に全て入れれば韓国は、石油販売代金がすべて米連邦銀行に入る。つまり「経済主権」のない国となる。さらに、米側は、韓国が対米投資による外貨不足を避けるため要請した無制限通貨スワップは断った。日本とも通貨スワップがない。無制限の通貨スワップを断る関係が、有事の際、韓国を護ると期待できるか。
トランプ大統領が国防部の名称を戦争部に変えた。戦争を準備するのは米国の選択だ。トランプが言う、これまで米軍が防御的に戦ってきた態勢から攻撃的になるべきだという主張はナンセンスだ。現実認識に重大な問題があると言える。一体、米国が攻撃されてから戦争をした歴史があるのか。「テロとの戦争」を除けば、いつも米国が戦争を始めた。トランプ大統領は、自分こそ戦争を始めなかった唯一の大統領と強調してきたが、トランプは今、米国の利益のための戦争を求めている。
米国は同盟と友好の国富(資本と技術)を喝取している。同盟ではなく、属州(植民地)関係だ。米国はイスラエル以外にはいかなる同盟国も護っていない。先週(9日)イスラエルがカタールのドーハのハマス指導部除去のため空襲した時、米国が販売した米国製の防空ミサイルは作動しなかった。西欧が強要してきた「規則基盤秩序」は、中世教会が強要した「天動説」だ。西欧とNATOはもはや友軍でない。虚構の同盟から目覚めねばならない。
韓国の経済主権を奪おうとする国は、如何なる国でも韓国の敵だ。韓国はワシントンの指示・強要に応じられない。ワシントンの約束や合意が守られると期待できない。対米投資を取り消し、高い関税を受け入れる方がましだ。この際対米依存を減らそう。非西欧諸国、BRICSやグローバルサウスは韓国との協力を望んでいる。
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