ロッテホールディングス(HD)は2日、韓国ロッテグループのホテルロッテとの共同出資会社「ロッテホテルズジャパン」を設立したと発表した。新会社は日本でホテル事業を手掛ける。ホテルロッテが韓国で展開するホテル事業のノウハウを生かし、今後急増することが予想されるインバウンド(訪日外国人)の需要を取り込むことで、新たな事業の柱とする。
ロッテHDは、東京都墨田区でロッテシティホテル錦糸町、新潟県妙高市でロッテアライリゾートの2施設を運営している。今回、ロッテホテルズジャパンを設立したことにより、2施設は同社の傘下となった。
同社は今後10年間で、日本国内の主要都市や観光都市を中心に、20カ所、4500室のオープンを計画している。直営のほか、ホテルオーナーからの運営受託(MC)方式も含めて出店を加速させる。
ホテルロッテは1973年設立。韓国最大のホテルグループとして多彩なホテルブランドを7カ国で、計39施設、1万4135室を運営している。
ロッテホテルズジャパンはホテルロッテが培ったノウハウを受け継ぎ、日本特有のきめ細やかなサービスを融合させ、国内・インバウンド双方の顧客に対応する。
オーナーから運営受託されたホテルに対しては、専門的な運営ノウハウとブランド力を活用した安定経営を実現し、長期的な視点で収益の最大化に取り組む。またロッテグループの持つグローバルな認知度によって、日本へ送客するとともに、ロッテグループが手掛けるオリジナルの美容サプリや健康食品などの活用、温泉・静寂な空間の整備、地元散策や農業体験などの提供によって差異化を図る。
都市部や政令指定都市、国際空港がある地域、就業人口が多い場所への出店を重視する。特に東京や大阪、沖縄については、直営方式で計画している。札幌や名古屋、韓国からの旅行者が多い福岡などのほか、既存ホテルを起点に周辺地域への回遊を考え、富山や石川も候補に挙がっている。
観光庁によると、2024年の訪日外国人旅行者は3687万人で、コロナ禍以前の19年と比べ15・6%増で過去最高となっている。このうち韓国人観光客が23・9%を占めており、韓国におけるロッテのブランド力が、日本での宿泊客獲得に寄与すると見込まれる。さらに同庁の「観光立国推進基本計画」によると日本政府は30年に訪日外国人旅行者数6000万人達成を掲げており、日本でのホテル市場は今後も拡大すると見込まれている。
ロッテグループは22年から「ONE LOTTE」をスローガンに、韓日の事業価値を融合させたグローバル戦略を推進し、ホテル事業もその一環として位置付けている。新会社設立によってホテル開発と観光振興の両面で韓日での相乗効果を生かす取り組みが加速する見通し。
ロッテホテルズジャパンの福井朋也社長は「旅行の価値は大きく変わりつつあり、豊かな時間と体験が求められる。私たちは地域と日本文化に根差し、心がほどけるような、記憶に残る滞在体験を提供する」とコメントしている。
 | | スキー場、温泉など多様なリゾートを楽しめる新潟県妙高市のロッテアライリゾート |