今回は日本経済の現状と、人口減少下の日韓ついて考えてみたい。
筆者が金融市場から得ているデータを見てみると、「2024年末時点で日本の総資産は1京2500兆円弱となっている」と見られており、これは決して小さい額ではない。
即ち、まだまだ日本にも経済的体力が残っていると筆者は考えている。そして、その内訳を見ると、非金融資産が3500兆円、金融資産が9000兆円となっている。
これだけでも素晴らしい数字であるが、日本の場合は、「米国のように借金をして消費する、借金をして投資する、即ち行き過ぎた信用創造によって金融バブルを作り、GDPを意図的に膨らませる」ということを過激にはしていないことから、「負債総額は前年対比わずか0・6%増しかしておらず、残高も8600兆円に留まっている」のである。
こうした結果、「日本全体の正味資産は4000兆円となっている」という立派な状況にある。さらに日本の場合は、対外純資産が23年末にも471兆3000億円、前年対比では12・2%増加している。こうした結果、日本は今も世界最大の純資産保有国となっているはずである。
こうした実態を前提とすれば「日本政府は国民の資産を守らなければならない」と筆者は考えており、そのためにも「日本のこうした資産が日本国内で再投資されるような環境を作らなければならない」、即ちそれは、「日本国内で新たな成長産業を作るために、日本政府が主導的な役割を果たすべきである。そうした新たな成長が新たな雇用機会と納税の拡大を生むという信頼感に繋がっていけば、上述したような日本の資金は国内で再投資されるはずである」ととらえており、「まずは日本国民に信頼されること、日本国民に夢を持たせるような環境を作ることに注力し、政治の世界から国民にしっかりとアプローチをしなくてはならない」と考えている。
日本は私たち日本人のものであり、私たち自身で再生させていくべきであると思う。
■人口減少と世界経済
人口統計予測は嘘をつかない。特に先進国では子どもは簡単には生まれず、簡単に増えず、予測が簡単に崩れることはないと思われるからである。
こうした中、昨年夏に国際機関である国連から発表された、「世界人口推計2024年版:結果の概要」によると、「世界の人口は、今後60年間で増加し、24年の82億人から80年代半ばには103億人でピークに達する。その後、21世紀末までに102億人になると推計される」と予測がなされている。今世紀中には、世界的な人口減少が予測されている。
単純に経済的インパクトを考えると、「世界的な人口減少は、潜在的な消費者の数、潜在的な労働者の数の減少を意味することから、潜在的な経済成長率の減少を意味する」ということにもなろうが、地球環境・資源を考えた場合、即ち、「SDGs的な視点から見れば、こうした世界人口の自然な漸減(戦争や感染症などによる現象ではない自然減)はむしろ、地球全体にとっては効果的な現象となる」とも考えられる。
そうであれば人口減少、少子高齢化が著しい日韓は、「量ではなく質を追い求めるべきであろう。世界の必要なモノやサービスを量と価格を安定させながら提供する。出来る限り、日韓しか提供出来ないモノやサービスを、それを最も高く評価する顧客に販売する。こうしたことをもって、世界に対して比較競争で優位を作り、人々の役に立ち、ありがとうと感謝してもらい生き残る国となっていくべきである」と筆者は考えているのである。
如何であろうか。
以上、少しでもご参考になれば幸いである。
(嘉悦大学副学長、愛知淑徳大学名誉教授 真田幸光) |