1909年10月26日、祖国独立を願って満州の地・ハルビンで前韓国統監の伊藤博文を暗殺した独立運動家の安重根。狙撃の直後、逮捕されて翌年3月に死刑となった。韓国では抗日運動の英雄として、いまも高い人気を誇っている。一方で、伊藤博文は明治政府の中心人物で、初代内閣総理大臣。日本の近代化の基礎を築いた。また、初代韓国統監を務め、1909年1月に韓国併合方針を決定した人物でもある。
安重根と伊藤博文は、韓日両国で時に歴史的対立の要因とされてきた。因縁の安重根と伊藤博文のかかわりを描いた韓国映画『ハルビン』が来月から日本で公開される。
同作品は、第49回トロント国際映画祭GALAプレゼンテーション部門に公式招待され、韓国の観客動員数5週連続1位、総動員数490万人超を記録した大作で、人気スターのヒョンビンが祖国独立に命をかける孤高の男、安重根を熱演した。伊藤博文役として、日本のリリー・フランキーが出演を果たした。
韓国現代史を描き続けてきたヒットメーカー、ウ・ミンホ監督が、ラトビア・モンゴルなど大規模な海外ロケーションを敢行。当時のハルビンの街並み、日本軍との戦闘シーンなどリアルに表現している。今年5月5日に開催された「韓国のゴールデングローブ賞」とも称される「第61回百想芸術大賞」では、最優秀作品賞、大賞(ホン・ギョンピョ撮影監督)を受賞、2冠を達成した。
安重根は、過去にも映画やミュージカルの素材となったが、今作では捕虜となった日本兵たちを安が万国公法に従って解放するシーンなど、史実に基づいた安の理想主義的な性格や、同志との対立が表面化していくシーンをリアルに描写した。派手なアクションシーンとともに、安の人間性に焦点が当てられた作品となっている。映画を見終わって、安の人生はもちろん、獄中で唱えた「東洋平和論」に関心を持つ人も多いかもしれない。
戦後80年を迎える今年、韓日両国の近現代史を知るためにも、観賞を勧めたい。
公開=7月4日(金)、新宿ピカデリーほか全国順次公開。
公式HP=harbin-movie.jp/index.html
運命的な邂逅を果たした安重根義士と伊藤博文©2024 CJ ENM Co., Ltd., HIVE MEDIA CORP ALL RIGHTS RESERVED |