22日の韓日国交正常化60周年を記念し、ソウルと東京で盛大なセレモニーが行われた。両国政府が互いの首都で主催した式典には「ともに力を合わせよう」という思いを共有する多くの関係者が出席した。両国関係のさらなる進展に期待が高まる中、過去60年間にわたって在日韓国人が築いてきた伝統がある。それは、日本という居住国に感謝し、祖国・韓国に恩返しをするという精神だ。
(ソウル=李民晧)
今月16日、駐韓日本大使館が主催した記念式典は、「立錐の余地もない」盛況ぶりだった。日本と縁のある韓国人は総出といっても過言ではなかった。外交関係者はもちろん、財界や学界、駐韓外交官らが一堂に会した。G7サミットのため出席できなかった李在明大統領は、映像で祝辞を寄せた。大統領が「両国は重要なパートナー」と語った場面では、「意外だ」との声が上がった。
反日回帰が懸念されていた中、李大統領は就任以来、対日友好のメッセージを繰り返してきた。G7で石破茂首相と会った際も「韓日は庭を共有する隣人」「切っても切れない関係」と述べた。
これに呼応するように、19日に駐日韓国大使館が主催した記念式典には、石破首相をはじめ、主要閣僚や3人の元首相、防衛省の指揮ラインが全員出席した。外国公館主催の行事に、これほど多くの日本側の要人が出席するのは極めて異例である。
日本に感謝、韓国に恩返し
60年の還暦を迎えた国交正常化は、在日同胞にとっても特別な意味を持つ。
「日本に感謝し、韓国を愛せよ」。
在日2世の李慶載E・B・S会長は、父・李熙健(新韓銀行創業者)のこの教えを胸に生きている。1世の多くは貧困や徴用により日本へ渡ったが、日本では職に就くことができ、生活基盤を築くことができた。だからこそ、日本に感謝し、その思いを次世代に伝えてきた。
韓国はルーツであるため、1965年の国交正常化以前から母国への投資(当時は「国内財産持ち込み」)が行われた。その支援は韓国の経済発展を大きく後押しした。その証左となるのが経済近代化の初期に誕生した「九老工業団地」をはじめ、ロッテグループ(辛格浩)、韓一電機グループ(金相浩)、KEC(郭泰石)などの在日韓国人本国投資協会の会員企業だ。80年代以降も、新韓銀行(李熙健)、第一スポーツセンター(許弼奭)、OK金融グループ(崔潤)、HANSOT(李英徳)などがその流れを継いでいる。また、韓日両国各地に設立された在日同胞による学校や奨学財団は、次世代人材の育成や両国間の友好に貢献している。
こうした在日韓国人の貢献の軌跡は、「感謝と恩返し」に貫かれており、多くの団体や企業の設立理念である「報国」の精神として今日まで受け継がれている。
在日韓国人本国投資協会の役員と奨学生(2025年3月25日) |