李在明大統領はNATO首脳会議(24・25日)に参加しない。今年3月「欧州再武装計画」を確定した西欧(EU)は、今回のNATO首脳会談で国防費をGDPの5%に引き上げる決議をするという。共同声明には防衛産業分野の協力推進が含まれ、ミサイルや弾薬など軍需品標準化、相互運用性の向上、民間と軍需用技術分野での協力も深化する方針などが確認されると言われた。こうした今回のNATO首脳会談に日本と豪州の総理も不参加、代理人を送った。
李在明大統領は先週のG7首脳会議でできなかった韓米首脳会談のためNATO首脳会議の参加を検討したが結局、魏聖洛国家安保室長を代わりに参加させることにした。韓国大統領がNATO首脳会談への招待に応じないことにしたのは正しい決定だ。まずアジェンダ自体が大西洋についてだ。ウクライナへのNATOの関心はすでに冷めたが、中東事態でどちらに立つかという圧力を受けることが明らかだ。他国の戦争に対する立場を軽く表明してはならない。
韓国が中国とロシアに対して過剰に神経をつかっているとの批判は、国際秩序の変化に対する無知だから無視すべきだ。トランプ大統領は昨年12月、米NBCニュースとの当選以後初のインタビューで「NATOから脱退を積極的に検討する」と話した。豪州総理は、昨年7月のNATO首脳会議(ワシントン)にも行かなかった(国防長官が代わりに出席)。アングロサクソンでかつ「ファイブアイズ」のメンバーである豪州も総理が参加しないNATOに、なぜ韓国が引き込まれねばならないのか。
韓国がイランの方に立つのかとケンカを売ってくる主張もあるが言語道断だ。韓国はロシアとイランなどと敵対する理由がない。米国はNATO同盟(カナダ、デンマーク)の主権まで脅す時代だ。米国もNATOと距離を置くのに、韓国や日本がなぜNATOに深入りするのか。
EUは今年3月7日、ウクライナ支援と欧州防衛力強化のためのEU特別首脳会議で27の加盟国一致で「欧州再武装計画」を採択した。27の加盟国全体が東西冷戦終息後30年余りの軍縮基調で脆弱になった軍事力と防衛産業を再建する、総額8000億ユーロ規模の「欧州再武装計画」を確定したのだ。ロシアに対応する再軍備だ。EUはこのうち1500億ユーロを独自の予算で用意し、欧州産武器の購買融資に使用、欧州防衛産業の復活を支援する。トランプ大統領就任後の悪化の一途の「大西洋同盟」の瓦解の可能性に備え、米国産武器依存度も減らすつもりだ。
合計8000億ユーロのうち、EU予算で支援される1500億ユーロの外の6500億ユーロは、各国が独自に調達する。EUは経済・金融安定のために各国財政赤字をGDPの3%以内に規制してきたが、当面は軍備拡大がより重要だと判断し、米国の要求に応じてNATO加盟国各国の国防予算を2035年までGDPの5%水準に増やすガイドラインに合意した。NATO加盟国の中でもスペインのように35年までにGDPの5%の国防費支出に反対する国家があるが、ドイツはメルツ首相が「安保独立」を宣言、4000億ユーロ規模の軍備拡張および防衛投資に乗り出した。14年ぶりに徴兵制の復活も積極的に検討している。
ロシアと隣接するポーランド、フィンランドとバルト3国(エストニア・ラトビア・リトアニア)も軍事力増強に熱中している。ポーランドは35年まで現在の15万人の兵力を50万人に増員する計画だ。フィンランドはF35ステルス戦闘機を64機購入し、海軍の戦力強化のための現代化プロジェクトも始めた。
バルト3国は防衛費をGDPの4~6%台に増やし、徴兵制実施に乗り出した。米国がデンマーク領のグリーンランドの合併が国際安全保障のためにも必要だから、「必ずやる」と言い放っている中、デンマークは追加国防費を編成し、GDPに対する国防費比率を26年までに3%台に引き上げる。この資金はほとんどの最新武器の購入に充てられる。
NATOの国防費5%目標はEUが、トランプ大統領が要求してきた通り、GDPの5%を超える国防費支出に応じて、米国が大西洋同盟から離脱できないようにする思惑もあるが、西欧は国防費の確保などと関係なく、すでに総力戦が戦える社会ではない。戦争をすれば勝てない。それでも人種的・宗教的敵対感から来る西欧、特にアングロサクソンの英国のルソポビアが西欧を夢遊病のように世界大戦に向かわせている。
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