映画『パラサイト 半地下の家族』(2019年)によって第72回カンヌ国際映画祭で韓国映画初となるパルム・ドールを受賞し、第92回アカデミー賞では作品賞を含む6部門にノミネートされ、作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の4部門を受賞したポン・ジュノ(奉俊昊)が、最新作『ミッキー17』(25年、米国)の脚本・監督を務める。
最悪なブラック企業と契約してしまい、ありとあらゆる方法で搾取され、危険な仕事を遂行し死んでは生き返ることを繰り返すミッキー(ロバート・パティンソン)。何度も死に続け遂に17号となったミッキーの前に、ある日、手違いで自分のコピーである18号が現れたことで、事態は一変。2人のミッキーは協力して権力者たちへの逆襲を開始する。
貧富格差の問題を『パラサイト』で大胆に描き出したポン・ジュノ監督の手腕は本作でも健在だ。何度も人体実験の材料とされ、そのたびに「人体複製(プリンティング)」されるミッキーを通じて、持てる者の持たざる者への搾取を痛切に描く。
周囲から「死ぬってどんな感じ」と尋ねられたときのミッキーの表情も印象的だ。ポン監督が抜てきしたロバート・パティンソンが、ミッキーという複雑なキャラクターを見事に演じている。ポン監督は、「原作小説のあらすじを読んだ瞬間に心を奪われた。『人体複製』という概念がとてもユニークだと思った。クローンとは異なり、人間をまるで紙のように印刷する技術。この言葉自体に、すでに悲劇性が宿っていると感じた。その世界観にすっかり引き込まれてしまった。これは、若者や労働者階級の物語だ。無力な存在が、意図せずヒーローになってしまう話。この映画はSFだが、同時にコメディーでもあり、とても”人間らしい”物語だ。『人間とは何か』『人間らしく生きるためには何が必要か』について、少しでも映画を通じて考えてもらえたら嬉しい」と強調する。
公開=3月28日(金)、丸の内ピカデリーほか全国順次公開。
公式HP=https://www.warnerbros.co.jp/mickey17/
権力者たちの業務命令により、次々と死んでは生き返るミッキーだが©2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved. |