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最終更新日: 2025-03-25 16:19:21
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2025年03月18日 12:31
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東アジア文字考~漢字を巡る遥かなる旅 第22回 水間一太朗
基督と耶蘇、そして咸錫憲が言いたかったこと


キリストが『基督』になった理由

「基督」は「キトク」としか読めない。この漢字を「キリスト」と読むようになったのは何故なのだろうか。十六世紀に成立したイエズス会は、漢字圏での宣教において「キリスト」を「基利斯督」と表現した。「斯」は、「斤」と音符の「其」を組み合わせた形声文字で切り離すことを表す。「ガス」を漢字で「瓦斯」としたのはカオス状態を表すためであった。「督」は、「叔」と、「日」あるいは「目」を合成した文字で、監督することを表す。これら「基」と「利」をも合わせて、「基利斯督」とは、秩序を正す存在という意味になるのである。
イエズス会の日本宣教においては、「基利斯督」という表現よりも「耶蘇」を多用した。キリスト教のことは、「耶蘇教」あるいは「天主教」と表現した。
「キリスト」は、ヘブライ語の「メシア」のギリシャ語訳で、「油を注がれた者」という意味である。そのキリストは「ナザレのイエス(イエズス)」であると信じられている。だから「キリスト」=「イエズス」となる。
「イエズス」は「耶蘇」と訳された。「耶蘇」の「耶」は「邪」が変形して成立した漢字で、間違っていることを表す。「蘇」は生き返ることを表す。その二文字を組み合わせた「耶蘇」とは、間違っている状態から蘇ることを表現している。名訳である。
イエズス会の宣教は徳川幕府の禁教令で終焉する。開国によりプロテスタント各派が上陸するが、その時に使用されたのが「基督」であった。時代を経て、「基利斯督」という表現は中国において短縮化され「基督」となっていたのである。そのような理由で「キトク」としか読めない「基督」を「キリスト」と読むようになったのだ。

韓国のガンジーが伝えたかったものは何か

さて、韓国が蘇る種はどこにあるのだろうか。一九一九年二月八日、在日本東京朝鮮YMCAの講堂で朝鮮青年独立団が結成され、朝鮮の独立宣言文が満場一致で採択された。その後も、東京、大阪などで第二、第三の運動が継続された。それは海外でも大きく報道され波紋を呼んだ。この宣言文はソウルにもすぐに伝えられ、三・一独立運動を引き起こす導火線となったのである。


本を読む咸錫憲(1901~89年)

 

 このことを契機に、内村鑑三と朝鮮留学生たちは深く心を結んでいくことになる。内村は、「無教会主義」を提唱し、イエスの福音の原点に帰ろうとした。共鳴した金教臣、宋斗用、咸錫憲、鄭相勲らは内村の聖書研究会に入信。「教会を持たず、人の権威を許さない」思想が、朝鮮留学生たちの心に火をつけたのである。
帰国後、彼らは『聖書朝鮮』を発刊。それは民族運動へと展開する。次第に形を成し後年、韓国の民主化に多大な影響を及ぼすことになった。中でも咸錫憲は、「韓国のガンジー」といわれ非暴力民主主義を唱えて民族を鼓舞した。彼は、著作『苦難の韓国民衆史(原題・意味から見た韓国史)』の最後を次のように締め括っている。
「では、若い魂よ、立ち上がれ。この苦難の荷を負うことにしようではないか。偉大な使命を信じながら、聖なる愛に燃えながら、罪悪に汚れたこの地球を背負って、殉教者の歩みで苦難の煉獄を歩もう。その炎にこの肉が燃えつき、この骨が溶け尽きる日、生命は新しい成長を遂げるだろう。真理は新しい光明を増すことだろう。歴史は新たな段階に上がるだろう」
今、韓国が揺れている。尹錫悦大統領を支えるための集会は親日派の若者たちから始まった。道を開くのはいつの時代でも若い世代である。二・八独立宣言の起草者の平均年齢は二十八歳であった。咸錫憲はいう。若い魂よ、立ち上がれと。 (つづく)

水間 一太朗(みずま いちたろう)
アートプロデューサーとして、欧米各国、南米各国、モンゴル、マレーシア、台湾、中国、韓国、北韓等で美術展企画を担当。美術雑誌に連載多数。神社年鑑編集長。神道の成り立ちと東北アジア美術史に詳しい。

2503-19-06 6面
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