韓国産食品を「Kフード」としてブランド化し、日本市場での消費拡大を図る動きが活発化している。尹錫悦大統領就任以降、韓日交流の促進による日本の食文化への韓国料理の浸透のほか、Kポップアイドルやドラマが取り上げた韓国食品が注目されたことによって、官民挙げての日本市場開拓に力を注いでいる。
展示会でアピール
韓国農林畜産食品部傘下の政府機関で、海外での販売促進支援事業などを手掛ける韓国農水産食品流通公社は11~14日まで、都内で開かれたアジア最大級の食品展示会「フーデックスジャパン2025」に、韓国食品を取り扱う約70社・96ブースで構成された韓国館を出展した。
出展企業は、農水産物、レトルト食品、コメ加工品、菓子など幅広い食品をアピールした。
同公社東京支社の曺大姓部長はここ数年で伸びている食品として、キムチと冷凍食品を挙げた。
キムチと冷食急進
曺部長は、日本市場のキムチは大きく分けて「日本製造、在日韓国人製造、韓国製造の3種類に分かれる」と説明。韓国製造のキムチは従来の日本人にとっては「発酵が進み過ぎて辛すぎる」と感じる人が多かった。しかし韓日交流が進み、渡航先での食事や輸入品を食べる機会が増えたことで、本場のキムチの味に馴染んだ日本人が韓国産キムチを購入するようになったという。
曺部長は「日本全体のキムチ消費量のうち、韓国産キムチは現在15%となっている。まだまだ伸びしろは大きく、日本の消費者にアピールしていきたい」としている。
冷凍食品については、韓流ドラマやKポップアーティストのSNSなどに登場したトッポギ、チヂミ、スイーツなどが注目されたことで、日本にいながら本場の味を楽しみたいという需要から売り上げが伸びている。
また、2000年代後半に日本でマッコリがブームになったが、現在の韓国の若者の間でブームが再燃しているという。劣化が早いという欠点があるが、「長期保存性に優れた製品を開発したことで、新鮮なマッコリで再度、日本でブームを巻き起こしたい」と意気込む。
国交60周年も視野
曺部長は「6月には韓日国交正常化60周年を迎えるが、これを韓国産食品販売促進の契機にしたい」と意欲をみせている。
同公社が韓国農協とともに今年から日本での普及を図るのが、夏の定番フルーツ「チャメ」。戦国の覇者・織田信長が好んだとされるマクワウリの一種で、東京・新大久保の韓国食材店などで売られている。仕事や勉強などによる一時的なストレスを軽減するGABAが含まれる機能性表示食品としてアピールする。
同農協では「サクサクとした食感で種にも甘みがあり、韓国で長年にわたり食べられている。展示会やキャンペーンなどで地道に普及を図っていく」としている。
韓国貿易振興院の韓国食品輸出に関する報告書によると、輸出額は15年の35億1000万ドル(約5220億円)から、24年には70億200万ドルまで増加した。24年の品目別輸出額は、即席麺が13億6000万ドルで最も多く、簡便食品9億8000万ドル、飲料9億4000万ドル、健康食品8億2000万ドル、調味料6億5000万ドルと続いている。
米中に次ぐ市場
韓国食品の輸出額は、直近10年間で年平均8%増加している。24年に韓国食品の輸入が多かった国は、米国が首位で、中国、日本と続く。
韓国政府は韓国食品産業の世界市場規模を21年と比べ、27年までに倍増させる目標を掲げている。韓国は世界でも最悪クラスの少子化が進み、人口減による国内市場の縮小が深刻なため、海外市場開拓は急務となっている。
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