米国がウクライナ戦争終結のためロシアと交渉を始めた中、米・露交渉から排除されたEU(欧州連合)が天文学的予算を投じて再武装を決定した。ウクライナ戦争の持続を決定したEUが「大西洋同盟」の瓦解に備え、米国からの独立意志を表明したのだ。ゼレンスキーは5日、トランプ大統領が要求するロシアとの終戦協商を公式拒否すると宣言した。
ウルジュラ・フォンデアライエンEU執行委員長は9日、ベルギーのブリュッセルで記者会見を開き、欧州の再武装計画を説明した。総額8000億ユーロのうち、EU予算で支援される1500億ユーロのほか6500億ユーロは、各国が独自負担する。EUは軍事力強化のため加盟国の財政赤字が大きくなっても「例外的状況」と認める。EUは各国の財政赤字をGDPの3%以内に規制していた。
先週5日、発表されたこの計画は、ウクライナ支援と欧州防衛力強化のためのEU特別首脳会議(7日)で27の加盟国の全会一致で採択された。首脳たちは共同声明で、「欧州の安保・防衛のための支出を莫大に増やさねばならない」「戦略的依存性を減らし、ヨーロッパ全域の防衛産業基盤を強化せねばならない」と強調した。
現在、EU諸国が保有する主要兵器の約55~60%が米国製と推定され、その事後管理と運用情報もほとんど米国に依存している。欧州の再武装の動きは昨年11月、トランプ米大統領の当選後、急激に速くなってきた。フォンデアライエン委員長は、EUの再武装計画を説明する際に「われわれが購入する武器の約80%が(米国など)非ヨーロッパ製」と強調した。
EUの再武装計画がその通り進めば、EU内のNATO加盟23国のGDPに対する国防費負担の割合は現在の約2%から3・5%に増える。 |