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最終更新日: 2025-03-25 16:19:21
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2025年03月04日 11:36
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デイリーNK高英起の「高談闊歩」第75回
金正恩が強奪する金日成・正日の権威

 2月16日は、故・金正日国防委員長の生誕記念日「光明星節」だ。北韓では、故・金日成主席の生誕記念日「太陽節」に次ぐ、重要な名節とされてきたが、金正恩総書記は年々ないがしろにしてきている。金正恩氏は太陽節と光明星節をはじめ、命日やその他の重要記念日に金日成・正日の遺体が安置されている錦繍山太陽宮殿の参拝を恒例行事としていたが、2021年以降は太陽節も光明星節も参拝していなかった。
昨年の金正日氏の命日には参拝したが、光明星節の参拝は実に4年ぶり。参拝の様子は朝鮮中央テレビで放映されたが、金正恩氏の表情からは厳かな雰囲気の中で故人に思いをはせるというより、面倒な行事をさっさと済ませたいという思いが読み取れた。
北韓国内でも今年の生誕祭は実に寂しいものとなったようだ。お祝いムードを盛り上げるための、特別配給「名節供給」もなかった。金正日氏の業績を称え、偲ぶ記念講演会が開かれたが、現場では熱風ではなく寒風が吹きすさんだという。「忠誠の歌の集い」が各地で開催され、町の至るところに「絶世の偉人金正日同志は永遠にわれわれとともにいらっしゃる」というスローガンが掲げられたが、通りを歩く人もほとんどいなかった。
一方の金正恩氏は、早朝にさっさと参拝を済ませ、向かったのは平壌の和盛地区住宅の着工式だった。和盛住宅地建設計画は、朝鮮労働党第8回大会で示された「平壌市5万世帯住宅建設構想」と党中央委員会第8期第4回総会の決定に従ったもので、金正恩氏肝いりプロジェクトである。父の生誕記念日に、自身の業績をアピールする式典を開催するとは実に嫌みったらしい。着工式で肉声演説をおこなった金正恩氏の口からはキム・イルソンもキム・ジョンイルの一言も発せられなかった。金正恩氏はあからさまに金日成・正日の業績をないがしろにし、権威を矮小化しようとしている。
こうした動きについて、世界中から非難され嘲笑されている個人崇拝や偶像化をやめるのでは?という見方もあるようだが、見当違いも甚だしい。祖父と父の権威をないがしろにする最大の理由は、金正恩唯一独裁体制の構築である。
自身の神格化のために、祖父と父の業績を称えることは不要どころか、障害になり得る。
加えて、金正恩氏は大韓民国との統一を否定する路線を徹底しようとしている。統一国家の建設と、民族統一を悲願としてきた金日成・正日氏の人生(実際はそうではなかったが…)は、あからさまに否定できないが、黒歴史となるわけだ。
2023年末~24年初めに金正恩氏が断韓宣言をして以来、北韓の政治、社会、文化で金日成・正日の権威が矮小化され、過去に積み上げてこられた業績は、金正恩氏だけのものになろうとしている。26年には、朝鮮労働党第9回大会が行われる。金正恩氏は8回大会で父の肩書き「総書記」を強奪した。次に狙うのは祖父の肩書き「主席」か、それとも国家を代表するなんらかの新設ポストか。
韓半島北部の独裁体制がアップデートされ、強固になろうとしている趨勢への警戒を怠ってはならない。

 髙英起(コ・ヨンギ)
在日2世で、北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。著書に『コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記―』など。

2503-05-04 4面
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