3月1日、韓国では複数の大規模デモが展開され、社会的・政治的な緊張が高まった一日となった。この日は歴史的に重要な「三一節」。1919年の日本統治に対する独立運動を記念する祝日だ。この背景から、毎年デモや集会が各地で行われるが、今年の状況は特に注目された▼自由民主主義は、個人の自由と平等を保障し、民意を政治に反映させる政治制度といえるだろう。だが、けっして完璧な政治システムではない。ときに政府や権力者が暴走し間違った方向に国が進む場合もある▼そんなとき、民衆主導のデモは、自由民主主義の精神を体現し、社会変革を促す強力な手段として機能してきた。デモは単なる抗議の表明にとどまらず、抑圧された声を具現化し、権力に説明責任を求める力を持つ。選挙や議会制民主主義だけでは拾いきれない民意を反映し、権力の濫用を監視する役割を果たす▼なぜデモはこれほどまでに影響力を持つのか。第一に、デモは「可視化」の力を持つ。普段は沈黙している市民が街頭に出ることで、不満や要求が無視できない規模で顕在化する。第二に、デモは「連帯」を生み出す。参加者が共に声を上げることで集団としての力を認識させる▼「悪が勝利する唯一の条件は、善人が何もしないことだ」。18世紀のイギリスの哲学者エドマンド・バークの有名な言葉だ。いま、韓国は内戦状態にある。日本にとってもけっして他人事ではない。”巨悪”と戦うために立ち上がるべきだろう。もう傍観者でいるのはやめよう。 |