韓国電池業界が業績を悪化させている。電池大手3社の2024年12月期決算が出そろったが、各社とも減収減益となっている。主要顧客である欧米での電気自動車(EV)減産の影響を受け、販売価格も下落したことが主な要因となっている。今後、米トランプ政権の関税強化やEV補助金削減なども予想され、厳しい業績予測となっている。
増産計画見直し
最大手のLGエネルギーソリューションの24年12月期の売上高は前期比24%減の25兆6200億ウォン、営業利益は同73%減の5754億ウォンとなった。同社がLGグループの電池専業子会社として独立した20年以降、初の減収減益となった。同社は高成長を続けてきた例年と異なり厳しい経営環境にあり、電池価格が上がりにくいことから、「新たな増産計画のペースを落とす」としている。
サムスンSDIの24年12月期の売上高は前期比23%減の16兆5922億ウォン、営業利益は同76%減の3633億ウォンだった。同社では「既存ラインを活用して新規ライン増設を抑えるほか、時期を調整して投資する」と24年と比べて設備投資を減額する方針を打ち出している。
SKオンの24年12月期の売上高は前期比51%減の6兆2666億ウォン、営業損益1兆1270億ウォンの赤字で、前期5818億ウォンのマイナスから、赤字幅を拡大させた。売上高が前年業績を下回るのは電池部門の業績開示を始めた17年12月期以降初めてとなる。同社は「今年予定していた米国新工場の稼働を延期する」と発表した。
世界シェア下落
市場調査会社のSNEリサーチによると、韓国電池大手3社の世界シェアは市場が本格的に成長した20~21年に30%台を記録したあと、22年1~11月に24・4%、23年に23・5%と下落し、24年1~11月に19・8%と20%を割り込んだ。
主要顧客である欧米でのEV需要鈍化だけでなく、国内でも24年新車販売台数が13年以来、11年ぶりの少なさとなる約164万台が見込まれる影響が要因となった。
代わって台頭したのが中国電池メーカーだ。世界シェア1、2位はそれぞれCATLが36・8%、BYDが17・1%となっている。中国国内市場を事実上独占していることと、新興国市場に浸透していることで躍進している。
韓日中が開発競う
苛烈な競争を繰り広げる電池業界だが、「全固体電池」の市場投入が韓国メーカー再浮上のカギを握っている。全固体電池は液体電解質の代わりに固体電解質を使用し、エネルギー密度が高く、火災や爆発の危険が少ないことから、日本や中国の各メーカーも開発にしのぎを削っている。SNEリサーチによると、世界の全固体電池市場規模は30年に約400億ドルになると見込まれている。
サムスンSDIは27年の商品化を目指して、世界の大手自動車メーカーにサンプルを供給して性能評価を進めている。SKオンは29年、LGエネルギーソリューションは30年の商用化を目標としている。
日本ではトヨタ自動車が27年の量産化を、中国のCATLは研究開発人材を1000人以上に拡大し27年の少量生産を計画している。
高い技術力必要
全固体電池の開発には高い技術力が必要なだけでなく、生産に多くのコストがかかり価格競争力確保に困難が予想される。
漢陽大学エネルギー工学科のソン・ヤングク教授は「量産と価格競争力の問題を解決する企業が市場を先取りできる。競争に打ち勝つためにも、韓国メーカーは開発を加速させなければならない」とコメントしている。 |