トランプ政権が発足して早1カ月。今月に入り、ワシントンで石破茂首相との日米首脳会談が行われた。前政権の政策を大きく転換し、「アメリカ・ファースト」を掲げるトランプ大統領との関係構築に、各国首脳は身構えている▼韓国では尹錫悦大統領の弾劾審判が進んでいる。このタイミングでのトップ不在は、国内だけでなく、外交にも大きな影響を及ぼすのは必至だ。韓米関係の停滞、あるいは後退は、韓国の安全保障に影を落とす▼おりしも金正恩は、全ての抑止力を強化するための「新たな計画」を進めるよう、国防省で演説したという。今のところ北韓の核・ミサイル開発を止める決定打はない。米国政府はこれまで公式には、北韓を「核保有国」とは認めていなかったが、先月トランプ大統領は北韓を「核保有国」と明言した▼世界各国で顕著になっている社会の分断は、韓国でも例外ではない。保革の対立は特に深刻で、両陣営が激しく応酬、内戦ともいえる状況となっている▼弾劾審判の結審は、早くて3月と見込まれている。その間の韓国の機会損失はどれほどになろうか。韓国は良くも悪くも大統領が大きな権限を持つといわれる▼尹大統領は現在、身柄を拘束され、国政運営はほとんど麻痺状態になっているといっていい。その間にも、北東アジア情勢は動く。米国も含めた環太平洋に枠を広げれば、韓国は渦巻く海面にわずかに頭をのぞかせている岩のようになっている。政局の混乱が外交に与える影響が懸念される。 |