AI車両制御サービス
事業で韓日企業が提携
韓日の事業連携の動きがAIモビリティー分野にも波及してきた。自動車用AI映像管制ソリューションを提供する韓国のスタートアップ企業A・I・MATICS(エイアイマティクス、京畿道城南市)は2024年8月、日本の車載用電子機器メーカーの慶洋エンジニアリング(東京都港区)と「AIを活用した車両制御サービス(FMS)事業に関する覚書」を締結した。
この提携により、両社はエイアイマティクス社が提供するAIカメラ「ロードスコープ」シリーズと安全運転プラットフォーム「Aid(エイド)」によるAI車両運行管理サービスを日本で開始した。
エイアイマティクス社と慶洋エンジニアリングが日本で協業、展開するAI車両制御サービス(FMS事業)は、車両内外に設置された最大5チャンネルのAIカメラで収集した映像データを解析し、ドライバーに走行情報を提供する一方、プラットフォームにデータを送信して運行管理者がリアルタイムに運行状況を把握できる。
このシステムの最大の強みは、AI検知によるADAS(先進運転支援システム)機能の精度が高く、運転の危険な状態をリアルタイムに検知するクラウトサービスにある。
車両管制市場のデジ
タル化を共同で推進
韓国株式市場(KOSPI)上場企業のドリームテックの子会社であるエイアイマティクス社は、00年に現代自動車の社内ベンチャーとしてスタートし、現代自動車にADASカメラシステムをOEM供給して急成長した。16年からは18カ国38社にAI映像認識ソリューションを提供し、米国・オーストラリア・イスラエルでFMS事業を展開している。
同社のイ・フン社長によれば「日本の車両管制市場はバリューチェーン全体で約18億ドルの規模があり、32年まで年平均10%以上の成長率が予想される」として、日本市場への参入を決めたという。
一方、慶洋エンジニアリングはエイアイマティクス社との提携により、AIベースの車両管制サービス事業を推進する。具体的には、エイアイマティクスの安全運転プラットフォームを日本市場向けにローカライズして提供し、25年はトラック、バス会社に1億円以上のサービスを供給する計画だ。
自動車業界はいま、CASE(コネクテッド、自動運転、シェア&サービス、電動化)の技術革新に向けて動いており、未来のクルマづくりとカーサービスの実現に向けたCASE時代の韓日連携の動きとして注視しておきたい。
 | | 「AIを活用した車両制御サービス(FMS)事業に関する覚書」を締結するA・I・マティクスのイ・フン社長(左)と慶洋エンジニアリングの中井利幸社長 |