尹大統領の非常戒厳と、野党の反撃・大統領弾劾で韓国が内乱・内戦状態だ。まるで毛沢東の「紅衛兵の乱」を見るようだ。
この内乱状況を収拾するには、混乱の実状と原因を冷静に診断せねばならない。現状況は、国家システムが故障した状態で李在明を大統領にするための「21世紀の紅衛兵の乱」が国を法と常識が通じない無政府状態に追い込んでいると言えよう。
非常戒厳を制圧した「李在明発の戒厳令」は、李在明一党が支配する国会が、行政部の掌握を目標としている。人体内の抗体が正常細胞を攻撃する「自己免疫疾患」のように、国家の公安権力が尹錫悦政権の崩壊・解体のため無限競争し暴走している。
内戦のもう一つの戦場は、ここ5年間の不正選挙の糾明をめぐる戦いだ。選管委と法院、そして彼らを庇護するカルテルと、公正選挙を求めてきた国民間の戦いだ。
尹大統領は非常戒厳の主な目標が「中央選管委のデジタル選挙操作に関する証拠の確保」だったと主張した。多くの専門家が主張してきた要求だ。尹大統領弾劾に反対する国民の多くは、デジタル選挙操作を糾明しようとする尹大統領を支持する。「自由と正義を実践する教授の会」も、時局宣言(昨年12月23日)を通じ、反国家勢力の剔抉と選挙システムの透明な検証を要求した。
公正選挙のため戦ってきた専門家の一人である孔柄淏博士が、不正選挙で当選した偽の国会議員53人の実名をYouTubeで公表した。だが、奇妙なことが起きている。まず、偽国会議員と指摘された当事者たちが反発・反論など何の反応も示さない。主要メディアは、偽物と言われた当の議員たちを取材もしなかった。もっと怪しいのは、当事者たちは反発もしていないのに、選管委が不正選挙など選挙システムに対して疑惑を提起すれば重罪をもって処罰せねばならないと言い出しているのだ。
すでに数多くの証拠を通じて確認されたデジタル選挙操作に対し、国民が国家機関に検証と是正を要求したのに、国家機関が国民の正当な要求を拒否するのは許せない怠慢で犯罪で反逆だ。世界から笑われる。
市場ではいかなる商品でもサービスでも検証と交換が可能だ。これを無視する企業は淘汰される。前近代社会でも天びんや升などをごまかす者は死刑など重罪に処した。先進国であるほど消費者の権利を保護し、被害を救済する装置が民間や公的分野で設けられている。法的にも紛争と葛藤を調整解決する装置が講じられている。
憲法は、すべての国民が公正かつ迅速な裁判を受ける権利を基本権として規定している。裁判で弁護人を雇えない被告には国家が国選弁護人を選任してくれる。
いかなるシステムも完全なわけではない。銀行で入出金のとき、機械で貨幣を数える単純な過程も二度、三度確認する。物を売買するときも、互いに錯誤がないよう確認する。工場で生産した物は出荷の前に何度も厳密な検査が制度化されている。自動化過程の後も再び専門家が検査する。
ところで、韓国では民主政治制度の根幹の選挙制度、選挙管理システムだけはなぜ神聖不可侵でなければならないか。現用選挙管理システムの欠陥は確認済みだ。システムの人為的操作の証拠は統計学的に証明されており、選管委と法院の隠蔽と妨害にも、多くの物証が蓄積されている。
各級選管委は法規を守っていない。中央選管委をはじめ、各級選管委の首長は「慣例的に」法官が兼ねている。そもそも選挙関連訴訟で法官(選管委)が被告の事件を法官が裁判するなど言語道断だ。
韓国には国民の基本権を否定してまで選管委や選挙操作を庇護する巨大なカルテルが存在する。特定の理念に支配される主要媒体がこのカルテルを庇護している。選挙操作の証拠を確保するための非常戒厳の試みまで失敗すれば、残されるのは国民の力で革命的に現状を変える道だけだ。
この状況で朝鮮日報は、選挙システムの疑惑から国民の視線をかわすためか改憲問題を持ち出した。この奇異な行動に怒りがわき上がる。韓国社会を正常化する第一歩は常識と自然法の回復だ。「5・18精神」などを憲法に入れるとか、権力を分けるような形の、間違った歴史観や世界観などに立脚した改憲は混乱収拾に無用だ。大韓民国の正常化は、改憲の前に国家の癌となった選挙管理システムの革新から始めなければならない。 |