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最終更新日: 2024-09-10 12:28:16
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2024年09月04日 14:02
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いま麹町から 41 髙木健一
サハリン朝鮮人虐殺~上敷香事件と瑞穂村事件

 鎌田慧の文庫本『ルポ戦後日本』(講談社文庫1995年)には、著者がサハリン訪問をした際にサハリンの朝鮮人の若者(2、3世)から、「ソ連軍が入ってきたとき、日本軍に朝鮮人が大量に殺された」と聞いたとする記述があります(同上書71頁)。この記述の正確性を検討したいと思います。

有名な事件として、「上敷香(かみしすか)事件」があります。ソ連との国境近くの上敷香で45年8月16日、20名前後の朝鮮人が「ソ連のスパイの疑いがある」として、警察署に連行され、1人を除き憲兵及び警察官に射殺されたという事件です。事件の13日後、サハリンを占領したソ連軍は、警察署に18人の遺体があったとしています。
事件によって父や兄たち6人を殺された女性が、日本政府を相手に91年に東京地裁に損害賠償の裁判を起こしました。しかし95年7月、20年の除斥期間が経過したとして棄却判決となりました。控訴したのですが、やはり棄却となりました。
ただし、最近の旧優生保護法に基づく強制不妊手術の損害賠償事件で最高裁は、除斥期間の主張が「信義則又は公序良俗又は権利濫用」にあたることもある旨を判断したことが今回のような場合にも参考になります。私人間の取引やもめ事では、「権利の上に眠るものは保護に値せず」というのは分かりますが、国家犯罪でもあり、しかも現在外国での出来事について、国が時効の援用を主張したり、除斥期間の主張をするのは適切ではないと思うのです。

次に重大な事件として「瑞穂村事件」があります(朴享柱『サハリンからのレポート』民涛社107頁以下)。瑞穂村は、樺太南西部の港町の真岡市の近くの農村でした。
この村で、45年8月20日頃、在郷軍人会の会長らが中心となり「朝鮮人はソ連の軍隊を喜んで迎えた、皆殺しにしないとソ連軍に告げ口される」などと述べ、これに同調した約20人が同村の朝鮮人27人を日本刀などで次々と殺したのです。村にいた女性や子どもまで含め9人が殺されたという記録があります。
戦後の46年12月までにウラジオストクで軍事裁判が開かれ、犯行に関わった日本人7人のほとんど全員に死刑判決が下され、執行されました。その他の加害者は逃げおおせたのです。

ところで朝鮮人の虐殺が敗戦時に樺太全土で計画されたこともありました。これを、敗戦時の大津敏男・樺太庁長官が厳しく阻止したと、サハリンの朝鮮人は信じています。私が知り合ったサハリン内渕炭鉱で労働経験のある朝鮮人は、ある日本人憲兵を命の恩人だと強調していました。
日本の敗戦時、憲兵隊の中で、朝鮮人虐殺の計画が現に検討されたといいます。その炭鉱では、朝鮮人労働者を集め、炭鉱の鉱内に入れ出入口を塞ぎ、爆薬で皆殺しにする計画だったというのです。その中で、その憲兵は反対意見を述べたが、少数意見だったというのです。そこで、その憲兵は知り合いの朝鮮人労働者に「鉱内に入れと言われても入ってはダメだ」と助言をしたのです。この憲兵だけでなく、上述の大津長官の指示もあり、結局、計画は実行されなかったのですが、朝鮮人労働者はこの憲兵を命の恩人だと感謝していたのです。

この経過をみると、関東大震災における朝鮮人虐殺などと日本人の心理に重なることがあると感じます。「朝鮮人が暴動を起こした、井戸に毒を入れた」などのデマで官憲や自警団などが各地で朝鮮人(一説では約6000人といわれている)を殺したのです。
他者を抑圧する者は、仕返しを恐れて過剰反応に陥るのです。その意味で樺太では上記の憲兵や大津長官らが存在していたため、一部の被害にとどまったのは良心の力と言えるでしょう。

2409-04-07 7面
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