1970年代半ばから草の根運動的に韓日の民間交流を行ってきた日韓親善協会。同協会の基幹行事が日韓青少年交流(訪日団受け入れ・訪韓団派遣)だ。今年は韓国から学生24人を迎え入れた。韓日の未来を作る両国学生の交流とその意義について、同中央会の石井和美理事長に話を聞いた。
日韓親善協会はどのような団体か。
「日韓親善協会中央会は両国の親善友好のために1976年5月に設立された民間交流団体。民間交流として草の根活動を全国で展開している。現在41の地方協会があり、その中核を担うのが中央会。中央会としては日韓歴史文化の交流や、次世代を担う青少年交流を30年以上にわたり継続して行ってきた」
7月末には韓国から青少年交流団を迎えたが。
「日韓青少年交流派遣活動は中央会の基幹行事となる。1年ごとに順番に日韓学生がお互いの国を訪問している。昨年は日本の学生が韓国を訪問した。今年は韓国から学生を迎えた。今回は7月29日から8月3日までの日程で韓国から学生が訪れた。コロナ禍で一昨年までの3年間中断していたが、昨年から再開し、今回は34回目となった」
今回は具体的にどういった内容だったか。
「今年は韓国の中学生・高校生24人を迎え入れた。女子学生が14人、男子学生が10人。高麗神社、聖天院、浅川伯教・巧兄弟博物館、民団などを通じての歴史探訪や忍野八海、北口本宮富士浅間神社、新倉山浅間公園などの自然探訪、サンリオピューロランド、原宿にも行った。今回は富士北稜高等学校を訪問し、同校学生と交流した。山梨県の協力を得て記念植樹も行った。その日の夜は、韓国側の訪日団24人と、日本側は富士北稜高等学校の学生10人、そして昨年訪韓した日本の学生5人を含めバーベキューを行い、宿泊交流をした」
日本側は過去に訪韓した学生も参加するのか。
「今回は昨年、訪韓した学生がサポートをしてくれた。宿泊交流に参加したのは5人だが、それ以外の行事で16人が同行してくれた。これまでは1回で終わって”点”だったものが”線”となった。相互交流を持続的に行う上で大きな変化で非常に意義があることだと思う」
学生同士の交流にはコミュニケーションが欠かせないが、語学レベルについては。
「流暢に会話をできる学生は多くはない。だが、いまはスマートフォンの翻訳機能などを使えば意思疎通にはほぼ問題がない。例えば、原宿でのショッピングなどでは韓国の学生が日本の学生に通訳を頼んだりなど一緒に行動することで活発にコミュニケーションが図れる。これをきっかけに語学試験にチャレンジし合格した学生もいる」
来年は韓日国交正常化60周年を迎える。今後の両国関係はどうあるべきか。
「日韓青少年交流に参加する学生の意識は以前と比べ大きく変わった。韓流などを通じて韓国に憧れを抱く日本の学生も増えた。韓国の若者もアニメなどから日本を身近に感じている。両国ともに、先入観なく互いを見ることができる。両国間で反日、嫌韓などの感情がクローズアップされることがあるが、長い歴史からみれば近年の対立も一瞬の出来事だと思う。日韓は互いが協力することで共に発展してきた。パリ五輪が閉幕したばかりだが、両国選手とも奮闘し多くのメダルを獲得した。例えば日韓両国のメダル数を合わせれば、米国、中国といった大国にも対抗できる。政治や経済の分野でも同様だと思う。日韓が連携しリーダーシップを発揮することがアジア、そして世界の平和、発展につながっていくはずだ」
そういったなか中央会の活動は意義深いと思う。
「若い世代が未来の日韓関係を作っていく。日本、韓国を経験し、直接コミュニケーションを図ることで、お互いの理解が深まっていく。中央会でできることは限定されるが、草の根運動が日韓の明るい未来をつくっていく一助になればと願っている」
韓国青少年交流訪日団と日本の学生。6泊7日の日程のなか、互いの理解を深めた(豊洲千客万来での集合写真)
「両国の協力が大切」と語る石井和美理事長 |