郷歌(ヒャンガ)と『万葉集』を関連づけた研究は、植民地時代朝鮮から始まった。あまり顧みられることのなかった古代韓日の比較研究に、文化史的側面から一石を投じたのが研究者の金永會氏だ。本紙で連載中の「万葉集の話(イヤギ)」は多くの読者の注目を集めている。今回は、『日本書紀』を「郷歌制作法」で読み解く番外編に加え、本紙万葉集研究班による解説、識者コメントを添えた。
金永會氏「郷歌制作法」で解釈
本紙の今年2月21日付1面で「世紀の発見、万葉集は郷歌だった~韓日古代史の空白と謎が解ける」を報じ、国内外に科学的な検証を求めた。また、金永會・東国大学世界仏教学研究所郷歌万葉集研究室長が「郷歌制作法」で解読する「万葉集の話」を連載中で、これまで10首を紹介してきた。
紙面の制約もあり、本紙の連載を読んでいる読者に対してこれまで説明できていなかった、郷歌に基づいた『万葉集』の解読方法、つまり「(新羅)郷歌制作法」とその背景を簡単に紹介したい。
事実、金永會室長の発見した〝創作〟に重点を置く「郷歌制作法」は、論文や2021年に刊行された著書(『郷歌ルート』『千年郷歌の秘密』『日本の万葉集は郷歌だった』)をはじめ、関心を持つ人であれば誰でも分かるように、その読み方が一般公開されている。YouTube(金永會TV)を通じてほぼ毎日、新しい研究結果を含めた講演も続けている。その一方で、いまだ国内外からいかなる反論・反証も提起されていないのが現状だ。
金永會室長はすでに万葉集のうち700余首を解読し、その内容の一部を『日本の万葉集は郷歌だった』(Book Lab)で公開した。この本には、『万葉集』第1巻の84首すべてと、『日本書紀』の中の天皇が作った歌謡(郷歌)9首が収録されている。さらに、古代語で書かれた皇室祭祀の祝文の一部も、「郷歌制作法」によって解読、掲載した(7面に関連記事)。それでも反論や反証、議論に向かう目立った動きがない。
金室長は、韓国の大学入試の郷歌に関連する正答例がすべて間違っていると指摘。韓国の歴史教科書を直さなければならないとも指摘しているが、学界は沈黙を続けている。
近年、数多くの考古学的発見などに基づき、歴史や科学史の教科書は変更されている状況だ。『万葉集』がきちんと解読されれば、韓国と日本の教科書にも結果を正しく反映、修正する必要が生じてくるだろう。
金室長は今月24日、新羅大学(韓国・釜山市)で開催される東アジア日本語教育・文化研究学会(中島和男会長)の国際学術大会で「万葉集の解読ツールとしての韓国郷歌制作法の実行可能性研究提案」を発表する。日本と中国からも多くの学者が参加するので、専門家との討議が期待される。
識者コメントは下記より
news.onekoreanews.net/detail.php
日本には万葉歌碑がさまざまなかたちで現存している。大伴旅人が歌った446番歌は、金永會室長がまだ解読していない歌だ。今後の研究が期待される(鞆の浦万葉の会提供) |