5月10日に新大統領に就任する尹錫悦氏だが、当選後の動向に不安を覚えざるを得ない。まず尹氏が着手したのが、大統領執務室を青瓦台から国防部庁舎に移転させる計画だった▼国民の統合を掲げてはいるが、与党との対決姿勢は崩していない。国会では、依然として与党が過半数を占めており、総選挙は2年先だ。与党との折り合いをつけなければ、2年間が無為に費やされる恐れがある▼まず着手すべきは、文在寅政権によって破壊された法治の正常化、とりわけ不正選挙が再び起こらないように選挙管理改革を行うことではなかろうか▼例えば今回の大統領選では、尹氏の事前投票の得票率は43・82%で、当日の得票率は56・24%だった。対する李在明氏の事前投票の得票率は52・57%。当日の得票率39・08%とは大きな乖離があった。票の不正な操作が行われた疑惑はぬぐい切れていない▼今年6月には、地方選挙と教育監選挙が予定されている。自由民主主義国家の根幹をなすのは、公正な選挙制度だ。不正選挙が繰り返されないよう、選挙管理改革をまず行わなければなるまい▼以前から不正選挙疑惑はあったが、それを報じるメディアは少数だった。しかし今回の選挙では、多くのメディアで取り上げられた。元総理の黄教安氏も、事前投票が不正の温床になっていると警鐘を鳴らしていた▼国会運営、不動産をはじめとする経済対策、雇用状況の改善と、問題は山積している。まずは法治の正常化を行い、態勢を整えることが先決ではないか。 |