文在寅政権発足から3カ月余り、大韓民国は法治と代議制民主主義が否定され、分配構造の全面再編を夢見る経済実験により、市場経済の根幹も揺らいでいる。国会の違憲的大統領弾劾と、大衆動員の政変で執権した文政権は、今も「積弊清算」を掲げて批判勢力を除去しつつ、全体主義的体制を構築している。
「ロウソク革命勢力」が国基を揺るがしている。文政権は、公務員にロウソク革命の道具になるよう要求した。ロウソクの”大株主”である過激労組は、社会主義政策を主張し、司法にまで影響力を及ぼしている。文政権は無償医療など財政破綻をもたらすポピュリズム政策を乱発している。
文政権は、在韓米軍のTHAAD配備に対しては「環境影響評価」制度を盾に、知能的にサボタージュを続ける一方、原子力発電問題のように法的手続きと厳密な科学的検証や戦略的考慮まで必要な事案は、大統領命令で中止や廃止を決めている。法の恣意的運用だ。さらに左翼政権特有の各種委員会が、また跋扈し始めている。
文政権には、公職に就いてはならない反国家活動前歴者が多い。秘書室長の任鍾晳は北側のため著作権料を集め、平壌に納めた。文政権は「南北連邦制」を促進するためか、韓米連合司令部の早期解体も推進する。
ついに、金正恩がICBMをもって「停戦体制」打破という博打に出た。どういう結果が出ても、もはや韓半島の現状変更は避けられない。金正恩が韓米同盟に宣戦布告をし、中国が金正恩体制を露骨に支援している状況だ。この状況で局外者扱いされている文政権の無能・無策ぶりに、多くの国民が絶望している。
国家や政府の最重要責務は、国体守護と安保だ。文大統領は金正恩がICBMを発射した2日後、ベルリンで行った演説で、金正恩体制の崩壊を望まず、「人為的統一を追求もしない」と明言した。これは自由統一を命じている憲法第4条を否定したものだ。憲法4条の否定は、大韓民国の国体と領土条項を規定している憲法1条と3条の否定、不服に繋がる。
文大統領は、改正すら不可能な憲法条文を否定しただけでなく、この憲法の根幹を保護する法的装置の解体にも取り掛かっている。国家保安法は、先述した憲法第1、3、4条などを護る唯一の法だ。憲法の一部といえるこの国家保安法に対する文大統領の認識を見てみよう。
2011年に出版された自伝『文在寅の運命』の中で、彼は盧武鉉政権で「(大統領の)民情首席秘書官を二回務めながらついにできなかったこと、それで残念に思うことがいくつかある。高位公職者の不正捜査処設置の失敗と、国家保安法を廃止できなかったこともそうだ」と吐露している。
文政権が進める「国家情報院の改革」も、国家保安法廃止と密接に繋がっている。文政権は、国家保安法の施行主体である国家情報院の無力化に対し、まず政治関与禁止を名分に、国内部門を廃止し、次に対共捜査業務を移管するという。南北対峙状況で、自由民主体制守護の中核機関の無力化は利敵行為だ。ましてや、非公開にすべき国情院の組織機密などを、法に違反して意図的に漏洩している。
国家保安法に対する文大統領の認識と、国情院の無力化作業を見れば、文政権の目標が何かが分かる。文大統領はこれまで、憲法裁判所によって解散された統進党との連帯を主張してきた。国家情報院の無力化・解体推進は、統進党解散への報復かもしれない。
要するに文政権は、朝鮮労働党の当面の目標である、大韓民国安保の3大軸‐国家保安法、韓米同盟を象徴する駐韓米軍、国家情報院‐の廃棄と撤退に協力している。歴代大統領は、金大中と盧武鉉を除いて「積弊」と規定した。大韓民国の建国史を否定し、消すことを使命としている。
今週、文大統領の就任100日記念切手が発行されるが、昨年から予定されていた朴正熙大統領生誕100周年記念切手の発行は中止させた。北の核開発を支援した金大中や、金正日の弁護人を自認した盧武鉉元大統領の対北政策は失敗した。この失敗した路線の継承を宣言しているのが文政権であり、民衆革命で前大統領を引きずり下ろし、主敵とは戦おうとしないのが文大統領だ。
大統領在任中の弾劾は、憲法84条によって内乱と外患誘致の罪を犯した場合にのみ可能だ。憲法第1、3、4条の否定、不服は、明白な弾劾事由に該当する。
韓米同盟は、李承晩大統領が「統一」を未来へと延ばした代わりに獲得したもので、自由統一を保証する貴重な安保資産だ。文政権が、憲法4条を否定し、逆に悪の体制の金正恩との連邦制を推進するなら、国民にはその反逆政権を弾劾し、打倒する権利と義務がある。 |