この「改革」が吉と出るか凶と出るか。少なくとも今の時点では困っている人の方が多そうだ。韓国で9月28日に施行された、「不正請託及び金品など授受禁止に関する法律」、いわゆる金英蘭法だ▼腐敗を防止することなどを目的に国務総理直属の機関として置かれた国民権益委員会。原案を提出した当時の委員長の名が金英蘭だった▼国家公務員や地方公務員といった「公職者」と業務上の関係性がある場合、「飲食3万ウォン」などの条件が定められた。「関係性」といってもどの範囲までかがあいまいなため、公務員たちは戦々恐々。飲食店はメニューを変更し、一部の高級店は閉店しているといったニュースが伝わってくる▼違反者の通報には報奨金が支払われることも話題になっている。不正を働く気などなくとも、見られているとしたら気分がいいものではなかろう▼江戸幕府の老中を務めた田沼意次は、重商主義改革を進めようとした。その結果、賄賂が横行し、後任の松平定信(白河藩主)は質素倹約を旨とする政策を敷いた。定信の行き過ぎを揶揄した狂歌で有名なのが「白河の 清きに魚も すみかねて もとの濁りの 田沼恋しき」。聞き覚えのある読者は多かろう▼ところが定信の就任当初、庶民は「田や沼や 濁れる御世をあらためて清く澄ませ 白河の水」と期待した。何事も行き過ぎはよくないということか▼蘭の一種には有毒のものがあるという。今韓国に咲き乱れる蘭は、見て美しく、かぐわしいだけの蘭であってほしいものだが。 |