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2015年01月01日 00:00
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【2015年韓半島 周辺国の風を読む】 米国・中国・ロシア

<米国>北に厳しい視線―原則派の新国防長官が誕生へ  駐ワシントン論説委員 金暎勲

 北韓は今や限界に近づいているという気がする。北韓は「核外交」で30年間米国と対峙しながら、核の製造生産と運搬手段を整えただろう。しかし核不拡散条約から脱退して核実験を強行し、国連を筆頭に50以上の国から制裁を受けている。その国際的孤立は深い。
朝鮮人民軍の黄炳瑞・総政治局長は14年7月、ホワイトハウスとペンタゴンを核ミサイルで狙うと威嚇した。これで米国の政策責任者と安保関係者は、北韓を”教育”すべきと意気込んでいるのは事実だ。
北韓は人権問題でもコーナーに追い込まれている。国連の事実調査委員会が2014年2月にまとめた報告書の告発も大きいが、金正恩が叔父である張成澤を残忍な方法で処刑したことが大きく影響した。
新国防長官に指名されたカーター氏
 14年のギャラップ社の調査によると、一般の米国民も北韓に対して「非常に/やや好意を持っている」と答えたのは11%しかいない。核実験を行った06年、09年、13年と同水準まで落ちているのは、人権問題が浮上したためだろう。イランの13%、シリアの12%を下回って最下位だった点にも注目すべきだ。
米国の上下両院で多数派を占める共和党は、北韓の挑発行為に対して91%が「深刻だ」、「やや深刻だ」と答えた。野党民主党は92%となっており、与野党ともに北韓の挑発を許さないという構えだ。
オバマ大統領は、6年間の任期中に国防長官を4人も替えた。3人目のチャック・ヘーゲルが事実上の更迭となった後、14年12月に指名されたのがアシュトン・カーターだ。カーター内定者(1月中に議会検証予定)は、過去に北韓空爆を進言するなど、強硬派として知られる。共和党タカ派のジョン・マケイン議員が上院軍事委員長を務めることも既定路線で、カーターの立場はより強固になる。
金正恩体制に入って挑発行為が盛んになり、核開発も運搬や発射手段まで完成段階に達した。米国は北韓がEMP(電磁パルス)兵器や核融合技術による核弾頭の小型化に成功したと仮定して安保態勢を強化しており、戦争の準備も終えている。
オバマ政権には残る2年間の任期中に解決すべき政治的・軍事的・外交的計画がある。まずは北韓の核問題だ。第二にISIS(イスラム国)との戦争収束、第三にシリアとイランの核兵器交渉も解決しなければならない。第四はアフガニスタンとパキスタンからの米地上軍撤退、第五にウクライナ情勢をめぐるロシアとの関係調整、第六に中国への対応
だ。
オバマ大統領のチームは、タカ派的なカーター氏を国防長官に就け、強力なムチを振るっていくのか、それとも民主党と共和党との協力により、軍事力をベースとした世界平和を維持するかという試験台に立たされる。韓半島の問題においては、韓国の役割が最も重大になる。
その韓国はすべての分野で改革と改造が必要だ。国民の意識改善と自覚は急速に進んでいるが、政府と議会は、旧態依然とした形式的な取り組みしかしない。米国は古くから「Bottom up Review」(完全検査制度)を実施することにより、腐敗を除去しながら改善を行い、想像と成果を生み出しているが、韓国もそれを倣うべきだろう。

キム・ヨンフン 1940年、ソウル生まれ。延世大学院修了後、1969年に渡米し、米アジア平和安全会議議長などを務めた。現在駐ワシントン本紙論説委員。

 

 

 

<中国>外交より内政―6カ国協議での北核解決を放棄か  拓殖大学教授 富坂 聰

 2015年の中国の動向を見る上での焦点とは何だろうか。
まず外交において、中国が世界の中でその存在感を高めることは間違いないだろう。中国がここ数年間になってきたような世界経済のけん引役をはたしていくことには限界が見え始めているが、それでも中国に代わるエンジンが急速に台頭する環境も整ってはいないというのが現実だからだ。
アメリカと向き合う中国は、常に自らを称して「最大の発展途上国」と表現するが、国の予算規模や貿易黒字を積み上げた外貨準備高から判断すれば金持ちクラブの新興会員であることは疑いない。
一度はTPP(環太平洋パートナーシップ)が盛り上がったことで「中国抜き」の経済圏が世界経済の新たな起爆剤になるとも期待され、これが中国経済の失速と相まって「中国の時代の終わり」をイメージさせたが、11月に北京で開催されたAPECの前後から、日米の話し合いが進まなかったことを受けて中国が中心となるRCEP(東アジア地域包括的経済連携)に対する期待がむしろ高まるという現象も見られたのである。
そのAPECでは、プーチン大統領から「中国との戦略的関係は史上最も高まった」という言葉を引き出し、インドネシアからは中国が構想する「21世紀海のシルクロード計画」に対する賛同を得て、さらにアメリカからはオバマ大統領の「アメリカのアジアシフトの中心は米中関係」と言わしめるというように、中国外交の成果が目立った会議となった。
中国は当面、世界はイスラム国という先進国が共有する悩みと米ロの緊張状態がメインテーマであるとして、中国に対する警戒を前面に押し出す動きは収まると見ている。
外交問題は流動的でかつ相手のあることなので一概に見通すことはできないが、中国は”静かな外交”を展開することで国内問題の処理にできるだけ多くのエネルギーを費やそうとすると予測されるのだ。
だがもしその例外を挙げるとすれば、それは南シナ海に違いない。中国国内には南シナ海で中国は当然得るべき利益を失ってきたという強い被害者意識が浸透している。南シナ海は東シナ海と違いエネルギーが埋蔵されている可能性が高いことも重要だ。また、これは世界が中国を見る目中国が経済力を付けたことを背景に現状変更しようとしているとの見方とは大きく異なるが、空港建設や油田開発においてむしろ中国が後発であったことも事実でもある。
しかもASEAN行動宣言をより拘束力の強い行動規範に格上げして中国の行動を制限しようとする動きが強まっている点を考慮すると、中国が急ぐ必然性は高まるかもしれない。
ただAPEC以前からベトナムとの関係を改善に向かわせ、さらにフィリピンとも一定の静けさを保つまでになった中国が、これをゼロに戻すような行動にでるかといえば疑問も残るのである。
中国がいま国内問題にフォーカスしなければならないことの裏には、経済の失速問題がある。バブル崩壊といったドラスティックな問題ではないが、これまで中国経済の成長を支えてきた炭鉱や不動産が下火である上に、国有企業改革の遅れが重くのしかかる。旺盛な消費を支えてきた資産が一気に消えることはないにせよ、次世代にまで引き継がれるかは疑問である。
そんななか中国は対北朝鮮外交の姿勢を大きく改めた。分岐点は劉振民の訪朝(14年2月。核問題などを協議)だとされるが、中国は中国が強い影響力を持つ多国間会議で問題を解決することを完全に放棄した。つまり6カ国協議の終わりだが、このことが一気に米朝の接近の橋渡し役となるか。一つの大きな見どころだろう。

とみさか さとし 1964年愛知県生まれ。北京大学留学後、週刊誌記者などを経てフリーのジャーナリストに。1月刊行の『中国 無秩序の末路 報道で読み解く大国の難題』(oneテーマ21)など、著書多数。拓殖大学教授。

 

 

 

<ロシア>北との関係強化―金正恩の初の外遊先はモスクワか  拓殖大学教授 名越健郎

 2015年の朝鮮半島情勢では、ロシアの出方が一つの焦点になりそうだ。北朝鮮は中国との関係が冷却する中、ロシアへの接近を強めており、15年には最高指導者、金正恩労働党第一書記が最初の外遊先としてロシアを選び、モスクワで朝露首脳会談が行われる可能性も出てきた。ロシアは北朝鮮からレンタルしている北朝鮮北東部、羅先経済特区の羅津港を南北朝鮮との経済協力の拠点に位置づけており、ロシアは南北経済交流の仲介的役割を果たすことを検討している。
中朝関係は13年12月、金正恩政権が実力者の張成沢氏を処刑し、同氏に連なる親中派を大量粛清して冷却化したが、朝露関係は中朝と対照的に大きく進展した。
14年2月のソチ冬季五輪開会式には、北朝鮮序列2位の金永南最高人民会議常任委員長が出席。プーチン大統領とも会談した。4月には、ロシアのトルトネフ副首相が訪朝し、貿易や鉄道輸送に関する協定に調印した。11月には、金正恩氏の特使として、崔竜海労働党書記が訪露。プーチン大統領と会談し、金第一書記の親書を手渡した。
朝露を結ぶ貨車
 同大統領はその後、各国大使らと会談した際、「北朝鮮との友好関係を支持する。両国の貿易、経済協力は両国民の利益にかない、地域の安定につながる」と述べた。プーチン大統領が北朝鮮に言及するのは異例だ。両国は15年の日本の植民地支配からの解放70周年で、共同で祝賀行事を行うことでも一致した。
両国の貿易は13年以降拡大しており、特に中国が北朝鮮向け石油供与を中止したとされることから、北朝鮮のロシアからの石油輸入が急増している。ロシアは14年に小麦2万トンや消防車数十台を北朝鮮に無償供与するなど、北朝鮮への接近を強めている。
両国の経済交流は、ロシアが北朝鮮の累積債務110億ドルのうち、9割を帳消しにし、残る1割を共同プロジェクトに活用する合意が成立したことで、障害が取り除かれた。ロシアは今後、北朝鮮への融資・投資が容易になる。
ロシア鉄道は14年9月、ロシア極東のハサンと羅津港を結ぶ貨物鉄道区間54キロの改修工事を完了。ロシアが租借する羅津港の埠頭を石炭輸送基地にする構えだ。11月には、ロシア産石炭4万トンがこの埠頭から韓国南東部の浦項に輸出された。
プーチン大統領は13年11月の訪韓で、ハサン・羅津間の鉄道を利用した物流協力に韓国企業を参加させることで朴槿恵大統領と合意。韓国から要人や企業幹部の現地視察が行われている。ロシアはこの鉄道をさらに北朝鮮経由で韓国まで延長し、シベリア鉄道と結んだ「ユーラシア鉄道」構想を南北朝鮮に提案している。
ロシア極東発展省は10月、ロシアが今後20年かけて、北朝鮮の鉄道近代化を進める計画を発表した。北朝鮮は総工費250億ドルをレアメタルなど地下資源で支払うという。
ただし、ロシアは欧米の経済制裁や石油価格下落、通貨下落で、15年に経済危機が招来するとの観測も出ている。朝露合同プロジェクトの進展には障害も多い。
一方、韓国外務省報道官は朝露の接近について「北朝鮮が孤立無援であることの現れ」と突き放した。在京の外交筋も「ウクライナ問題で制裁を受けるロシアと北朝鮮は共に孤立しており、孤立国家連合だ」と述べた。
朝露両国は6カ国協議の早期再開でも一致しているが、日米中韓がこれに応じるとは思えない。朝露が結束しても、東アジア情勢を大きく動かすことはなさそうだ。

なごし けんろう 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学卒。時事通信社でモスクワ、ワシントン支局長などを務め、現在拓殖大学教授。国際教養大学特任教授。

2015-01-01 17面
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